地域において担っている役割
当院は、肝付町の山間へき地に位置する内之浦地区において唯一の有床医療機関である。内之浦地区は過疎化が進み、公共交通機関も乏しく、令和3年3月末現在の高齢化率は54.4%と非常に高い状況で、自家用車を保有しない高齢者も多数存在する。このことから、平成22年度より病院車における患者無料送迎を実施している。また、常勤医、近隣医療機関からの派遣医師協力の下、様々な症例への対応は勿論のこと、救急病院指定による夜間、休日の患者受け入れも担っており、内之浦地区住民にとって必要不可欠な存在である。
経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルスの影響により、外来、入院患者が減ったことで検査、手術、リハビリ件数が減少した。さらには病床利用率、入院、外来患者1人1日当たり収益にも影響を及ぼし、医業収支比率の低下、累積欠損金比率の上昇、材料費対医業収益比率の低下に繋がった。また、職員数の大きな変動はなかったものの医業収益が大きく減少したことで職員給与費対医業収益比率も上昇した。単年度収支は法定外繰入(137,000千円)を行ったことで100%以上となった。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、施設の建設から38年が経過しており、増改築や修繕を重ねていることから老朽化は否めないが、器械備品減価償却率は、経年比較、平均比較から適正な投資ができているものと考えられる。また、1床当たり有形固定資産についても経年比較で増加傾向にあるが、平均比較から低い数値であることから、今後も継続して計画的な更新を実施していく。
全体総括
近年の新型コロナウイルスの影響や人口の自然減等、地域の実情や施設基準をクリアする難しさもあり、改革プランに基づく施策が十分実施できていない。喫緊の課題である常勤医師確保に努め、今後も一般会計からの適切な繰入を継続して行い、改革プランに即した経営を行えるよう努めていく。