経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、「企業債残高対給水収益比率」が類似団体と比較して高い数値となっている。また、経常収支比率は5年間で7ポイント悪化している。(要因)平成22、23年度に「ありあけ浄水場」の建設費として1,018,557千円を要したことにより、企業債残高が増加したためである。また、経常収支比率については、施設の老朽化に伴う修繕費や配水設備の更新で費用が増加傾向であり、経常収支比率が悪化している。(今後の対策)経営状況は、類似団体と比較しても大きな問題は無いように見えるが、将来的な見通しを踏まえると楽観視はできない状況である。安定した経営を維持して行くため、今後も計画的に更新事業を実施し、経常収支とのバランスを考え、平成3年から29年間据え置いている水道料金について見直す時期に来ていると考える。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は類似団体を下回っているが、徐々に上昇傾向であり老朽化が進んでいる。「管路更新率」は過去5ヵ年平均で0.60%と類似団体の0.68%を下回っているため、今後も老朽化の進行を見据えた投資計画が必要である。(要因)管路更新率低下の要因は、既設管の撤去費用や資材単価の高騰で、当初計画の更新工事件数が減少したためである。(今後の対策)平成30年度までに実施した財政収支計画に基づき、令和元年度に施設再構築計画の策定及び更新需要見通しの検討を行った。施設、設備の劣化状況を正確に把握したことにより、耐震化も併せた計画的、効率的な修繕、更新を行っていく予定である。
全体総括
現在のところ、水道事業の経営は平均的な水準である。しかし、今後は人口減少による給水収益の減少と、老朽施設が増加することによる費用の増加が予測され、健全な事業経営のために長期的な対策が必要と考えられる。(今後の対策)令和元年度に更新需要、財政収支見直しに基づく計画的な施設更新、資金確保を行うための中長期計画を策定した。計画を踏まえ、将来の人口減少を見据えた効率的な施設整備及び財政計画により、29年間据え置いている水道料金についても検討が必要である。