地域において担っている役割
平戸市立生月病院は、昭和55年11月に長崎県離島医療圏組合生月病院として、現在地に移転開設した。生月町において、唯一の医療機関であり、救急告示病院として、一次救急医療のほとんどを担っている。また、訪問診療のほか、訪問看護、訪問リハの介護保険サービスを実施すると共に特定健診や事業所健診など保健事業の推進を図り、保健・医療・福祉が一体となった地域医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は平成30年度から患者数の減少により100%を割り込んでいたが、令和3年度は100%を上回った。要因としては、新型コロナウイルス感染症関連補助金及び人件費の減少によるものである。これまでの経常収支比率に対する医業収支比率から見ても、他会計からの繰入金に依存しており厳しい経営状況である。病床利用率が平均的なのに対して入院患者1人1日当たりの収益が平均よりも下まわっているのは、現在の医療体制では、手術等が実施出来ず診療単価が増えない状況である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、建物が築40年を経過していることから施設全体の老朽化が進み、安全性、快適性に欠けた医療施設になってきている。機械備品減価償却率については、平均から乖離しているが、施設や医療機器の老朽化は進行しているので、今後も計画的な医療機器の更新を進めていく必要がある。1床当たり有形固定資産は、平均値から大きく乖離しており、過剰投資を行っていない状況が読み取れる。
全体総括
経常収支比率は、令和3年度は新型コロナウイルス感染症関連補助金により改善が見られたものの、これは一時的なものである。平成30年度までの経常収支比率は、他会計からの繰入金により平均値を上回っていたが、元年度及び2年度まで患者数の減少により平均を下回っている。医師数が少ない状況が続いており経営状況に影響していることから医師(外科医・整形外科医)の確保ができれば、患者数の増加及び患者1人当たりの収益増が見込め経営の安定化につながっていくと考えられる。令和4年7月には一部病床を地域包括ケア病床に転換して、回復期病床を導入しており、今後も新たに策定する新改革プランに沿って地域に必要とされる医療等の経営改善策に取り組み、経営の健全化を図っていく。