地域において担っている役割
平戸市立生月病院は、昭和55年10月に長崎県離島医療圏組合生月病院として、現在地に移転開設した。生月町において、病床機能を有する唯一の医療機関であり、救急告示病院として、一次救急医療のほとんどを担っている。また、訪問診療のほか、訪問看護、訪問リハの介護保険サービスを実施すると共に特定健診や事業所健診など保健事業の推進を図り、保健・医療・福祉が一体となった地域医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
平成29年度まで経常収支比率は100%を超えていたが、平成30年度から患者数の減少により100%を割り込んでいる。経常収支比率に対する医業収支比率から見て他会計からの繰入金に依存しており厳しい経営状況である。入院患者1人1日当たりの収益が平均を下回っているのは、近年の医師不足(診療科別偏在)が要因で、現状の医療体制では整形外科等の手術等が実施出来ず診療報酬が増えないと考えられる。また、職員の年齢構成が高く、医業収益も落ちてきており職員給与費対医業収益比率が上昇傾向にある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、建物が築40年を経過していることから施設全体の老朽化が進み、安全性、快適性に欠けた医療施設になってきている。器械備品減価償却率については、平均から乖離してきているが、それでも施設や医療機器の老朽化が進行していることは明白で、新改革プランや事業計画等に基づいて大規模改修及び計画的な医療機器の更新を進めていく必要がある。
全体総括
他会計からの繰入金により前年度まで経常収支比率は平均値を上まわっていたが、今年度は大幅な患者数の減少により平均を下回っている。医師の高齢化とともに医師数が少ない状況が経営状況に大きく影響している状況で、医師(外科医・整形外科医)の確保ができれば、患者数の増加及び患者1人当たりの収益増が見込め経営の安定化につながっていくと考えられるため、新改革プランにもあるようにさまざまな経営改善策を講じて、経営の健全化を図っていく。