経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、100%を達成しているが、経費回収率は100%を達成していない。令和元年10月に下水道使用料を改正したものの減少している。これは、企業会計移行により決算時期が前倒しになったことによる下水道使用料等の減収により落ち込んだものである。また、集落排水を推進するため、供用開始当初から下水道使用料を低廉に抑えてきたことや地域間格差を生じさせないように集落排水使用料の設定を公共下水道と同額としていること、また、経年劣化による設備修繕の増加により汚水処理費が嵩んでいるなどの要因によるものである。汚水処理原価については、平均よりも高くなっているが、これは、水洗化率が100%となっているものの離島の小規模集落地域により、処理区域内の人口増加が見込めず、使用水量が伸びないことなどから、汚水処理費が高くなっているものである。
老朽化の状況について
小規模集合排水処理は、平成9年度に供用を開始し、約20年が経過している状況であり、法定耐用年数(50年)を経過している管渠は存在しないため、管渠更新等は進んでいない。今後も施設の適正な管理を行うとともに、経年劣化による不具合(機器修繕及び管路の破損等)が生じた場合は、修繕等により随時対応していくこととしている。
全体総括
下水道事業の運営にあたり、一般会計からの基準外繰入金により収支のバランスを取っている状況である。経費の健全性等を確保するには、下水道使用料の見直しや水洗化の促進による経費回収率の向上が必要不可欠である。これまで、経費回収率の向上と使用者の適正な負担を踏まえて、概ね5年ごとの改定を行っている。今年度の改定は年度途中の改定であったため、令和2年度の決算時に結果が表れる。今後は、今回の下水道使用料改定や令和2年度からの企業会計移行を踏まえて策定する新たな経営戦略を軸に下水道使用料の見直しを検討し、唐津市農・漁業集落排水施設最適整備構想を参考に施設の計画的な長寿命化を図るなど、経営の健全化に努める。