経営の健全性・効率性について
本町は、平成16年8月に旧「久万町、面河村、美川村、柳谷村」の合併により誕生した、行政区域面積584㎢で愛媛県で一番広い町である。南北30㎞、東西28㎞で1,000mを超える四国山地に囲まれた山間地域であり、土佐湾に流れ込む「面河川、久万川」が縦流する水源地域である。北西部の久万地区は渓流沿いに水田を有した盆地であるが、他の地区は標高200~800mの山地に集落が点在しており、簡易水道施設15箇所、飲料水供給施設9箇所、共同給水施設45箇所、合計69箇所の水道施設が点在している。そのため、設備投資に多額の費用を要し、企業債残高対給水収益比率が類似団体平均値の約1.6倍と高くなっている。平成28年度に企業会計に移行し、経常収支比率は100%を超えており、累積欠損金はないため、流動比率は年々増加している。また、企業債残高対給水収益比率が高いため、料金回収率は類似団体平均値を下回り、逆に給水原価は上回っている。人口減少は進んでいくが、施設数はほとんど減らないため、施設利用率は60%以下で推移し、管路の管理はほぼ適正に行われているので、有収率は70%前後で推移すると思われる。
老朽化の状況について
69箇所と施設数が多いため、有形固定資産減価償却率は類似団体平均値を上回っている。また、1給水区域内でも集落や人家が点在しているため、1給水区域あたりの管路が長く、管路更新率は低くなっているが、管路の更新時は不具合箇所から優先的に行い、住民生活に支障が出ないようにしている。また、改良については、重要度に応じた、施設の耐震化や基幹管路の耐震化を検討したうえで行う必要がある。施設統合については、施設間の距離が遠いところが多く、多額の費用を要するため非常に難しい。
全体総括
給水原価を下げ、料金回収率及び有収率を上げる必要があるが、企業債残高を急に少なくすることは困難なうえ、過疎化・高齢化による給水人口の減少や、節水意識の浸透による水需要の減少などにより、料金収入の減少は予想されるが、安易な料金値上げが行えないのも現状である。流動比率、有形固定資産減価償却率や、平成28年度に策定した経営戦略を踏まえ、健全な事業経営や適正な料金設定等についても検討していく。また、給水区域ごとに異なる過疎化・高齢化に対応するため、ろ過方式の変更による維持管理作業負担の軽減や、浄水施設の閉鎖等に伴う給水方法の変更なども検討が必要不可欠である。