経営の状況について
経常収支比率、営業収支比率ともに単年度の収支が黒字であることを示す100%を超え、1年以内に支払うべき債務の支払い能力を示す流動比率も100%を大きく上回るなど、経営の健全性を確保出来ている。各指標の状況は下記の通りであるが、平成30年度は、概ね指標が類似団体の平均値に比べ、良好な状態にある。○経常収支比率、営業収支比率営業収益の大部分を構成する料金収入は、肱川発電所被災による稼動停止(H30.7~)により、前年度より減少した。営業費用は、修繕費等の減少に伴い、前年度より減少し、収入の減を上回った。そのため、営業収支は前年度を上回り、経常収支比率、営業収支比率ともに、前年度を上回った。過去5年間の推移を見ても、目標値、類似団体の平均値を概ね上回っており、営業収益が経常収益の90%以上を占めていることから、営業活動から生じる収益で、事業活動全体の費用を賄えており、経営の健全性を確保出来ている。○流動比率流動資産のほとんどを現金及び預金が占め、流動負債は企業債と一時的な未払金等で構成されているため、流動比率は、一時的な未収金及び未払金の状況により変動している。平成30年度は、未払金の減少、現金預金の増加により前年度に比べ大幅に増加した。平成27年度以降、類似団体の平均値を上回って推移しており、短期的な支払能力を十分確保している。○供給原価供給原価は、経常費用の減少により、前年度から下降し、類似団体の平均値を下回って推移しており、効率的な運営が図られている。○EBITDA(減価償却前営業利益)平成30年度のEBITDAは、営業費用の減少により、純利益が前年度を上回ったことから、前年度から増加し、類似団体の平均値を上回っており、本業の収益性は安定している。
経営のリスクについて
設備面では、計画的な維持管理に努めており、修繕費比率が類似団体の平均値を下回った。経営面では、料金収入は前年度を下回ったものの、企業債残高対料金収入比率は減少しており経営の健全性を維持している。なお、各指標の状況は、下記のとおり。(設備面)○設備利用率最大出力合計は、畑寺発電所の運転開始により、平成27年度に増加した。設備利用率は、発電電力量の減少等により、減少傾向にあるものの、目標電力量を定めるなど、計画的な運用を図っている。平成30年度の設備利用率は、前年度を下回ったものの、類似団体の平均値は上回っている。○修繕費比率修繕費比率は、オーバーホール工事の実施の有無により、年度により、ばらつきがあるものの、設備の効果的な維持管理を行っており、平成30年度は工事の減少により、類似団体の平均を大きく下回った。○有形固定資産減価償却率銅山川第一発電所1号機や道前道後発電所など、建設から50年以上経過する施設があるため、減価償却の進展に伴い、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にある。(経営面)○企業債残高対料金収入比率企業債残高対料金収入比率は、平成30年度は料金収入が減少したものの、企業債現在高が、新たな借入を行っていないため、減少傾向にあり、平成28年度以降、類似団体の平均値を下回って推移している。○FIT収入割合収入割合の30%をFIT適用施設による収入が占め、類似団体の平均値を上回って推移している。売電単価(FIT適用施設以外)改定などにより、FIT適用施設以外の電力料金も増加したため、FIT収入割合は、平成28年度に初めて下落したものの、類似団体の平均値を上回っている。
全体総括
愛媛県公営企業管理局では、平成22年度から31年度を対象期間とする電気事業中期経営計画を策定し、安定した発電を行うための施設の維持や財政基盤の強化などに取り組んでおり、施設の耐震化率や売上高経常利益率などの数値目標の達成状況を、毎年度公表している。この結果、設備面では、設備利用率において、類似団体と比べ、良好な状態にあり、経営面も、経常収支比率や営業収支比率が100%を上回るなど、健全性を維持している。しかしながら、FIT収入割合が類似団体の平均値と比べ、高くなっていることから、調達期間終了後を見据え、更なる経費節減による収益性の向上や計画的な設備の維持管理に努めたい。