経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、類似団体平均値と比較すると低いが、100%を上回っており、経常収支は黒字である。累積欠損金は、発生していない。流動比率は、100%を下回っているものの、類似団体と比較すると高い。会計制度改正により25年度までは借入資本金とされていた建設改良費等に充てられた企業債等が流動負債に計上されたため67.87%となった。短期的な債務に対する支払能力という意味では、翌年度の使用料収入等が原資として予定されており問題ない。企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値と比較すると低くなっているが、料金収入に対し約9倍の企業債残高があることとなる。なお、27年度は26年度と比較して比率が約2倍となっているが、これは、27年度より企業債残高から控除される一般会計が負担する企業債残高の計算方法を変更し、これまでの減価償却費や支払利息等の算定方法から、元金償還額のみによって算出する方法に改めたことによるもので、企業債残高そのものは減少している。経費回収率は、100%を上回り、使用料で回収すべき経費は使用料で賄えている。汚水処理原価は、類似団体平均値と比較すると低く抑えられている。施設利用率は、類似団体平均値と比較すると高く71.48%となった。水洗化率は、類似団体平均値と同程度の数値である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体と比較すると低い。しかしながら、企業会計へ23年度に移行した際、減価償却が終わっていない部分のみを固定資産に計上したことが影響しており、必ずしも類似団体に比べて施設の老朽化が進んでいないということではない。管渠老朽化率は、類似団体平均値と比較すると高い。本市では、古い施設が昭和41年に供用を開始しており、今後も法定耐用年数を経過した管渠延長が増加することとなる。管渠改善率は、類似団体平均値と比較すると低い。長寿命化の調査結果により管渠改善を行っており、マンホール蓋の改修なども含め優先順位をつけて実施しているが、管路の総延長も長いため、改善率には反映されにくい。
全体総括
現状における経営状態については、経常収支は黒字で推移しており、流動比率等の指標についても類似団体と比較して良好な状態である。しかしながら、管渠老朽化率にも見られるように、施設の老朽化が進んできており、点検・診断・改築更新を体系的に捉えたストックマネジメント計画等を作成し、施設の長寿命化や耐震化を進める必要がある。また、企業債残高についても、発行額の抑制や改築施設の耐用年数に応じた適切な借入年数の設定などにより計画的に削減に努め、経営の安定化を図らなければならない。