経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、使用料収入については料金改定により微増となったが、営業外収益のうち一般会計繰入金及び基金繰入金が減となり総収益は約16,000千円減となった。また、総費用は維持管理費のうち、職員給与費及び修繕費の減により12,000千円の減、地方債償還金は1,000千円の減となった。いずれの数値も低くなったが総収益の減少幅が大きかったことで、数値は下がった。今後も使用料収入増が見込めないため、さらに費用削減に努めなければならない。④企業債残高対事業規模比率については、企業債の全額を一般会計から繰入しているため数値は0である。⑤経費回収率は直近は約48%で、R1は64%とかなり改善している。これは施設の維持管理費における修繕費の減と職員給与費の削減によるものである。今後も施設の維持管理費の削減が必要である。汚水処理費の財源は、使用料収入不足分を基金の取り崩しと一般会計繰入金により賄っている。また、企業債の新規借入は災害復旧事業債発行したが企業債残高はH22をピークに減少している。この企業債償還の財源は、全額を一般会計繰入金で賄っている。⑥汚水処理原価については、類似団体平均値より少し高い値で推移しているが、汚水処理費は前年度より減少しているが、有収水量の減少が著しく原価は高くなった。今後もこの傾向は続いていく。⑦施設利用率は直近5年平均で約49%となっているが、人口減少により微減となり、依然として類似団体より低い値である。⑧水洗化率は、約92%で全国平均や類似団体平均を少し上回っている。昨年より数値が上がったのは、処理区域内人口の減少幅が著しいため、割合が高くなっただけであり、人口減少、少子高齢化により数値が大幅に上昇することは今後も見込めない。今後は機械設備の更新を計画的に行い維持管理費の削減を図り、財源確保のための料金改定を検討する必要がある。
老朽化の状況について
本市は地方公営企業法非適用につき、会計上の固定資産の減価償却を行っていないため、有形固定資産減価償却率の数値は出ていないが、実質は減価償却を行っており、この数値は法適用後に年々上昇していくと推測される。当施設は2処理区があり、桜江中央地区はH13に供用開始し18年が経過、川越地区はH18に供用開始し12年が経過したことにより、維持管理費も年々増加している状況である。管路施設については、耐用年数を経過していないため、老朽管の更新などの必要は生じていない。そのため、管渠老朽化率は数値としては当分の間出ない。一方で、処理施設の機械設備などは、すでに耐用年数に到達しているものが多くあるため、修繕計画をもとにオーバーホールか取替を見極めて、長寿命化を図っていくとともに、施設更新の際は、将来需要の予測を踏まえて、施設・設備の合理化などを検討していく必要がある。とくに、汚泥脱水乾燥発酵装置及び通報装置等については老朽化が著しくR4より機能強化対策事業により、機械装置の更新に着手する予定である。
全体総括
農業集落排水事業における処理区は2つあるが、桜江中央は、H13.6に供用開始し接続率は約94%、川越は、H18.4に供用開始し接続率は約80%となっている。R1は料金改定により一定の使用料増であったが、今後大幅な収入増は見込めない。今後、処理区域内における人口は減少の一途であり、料金改定以外の使用料の増は見込めない状況にある。また、収支不足は恒常的であり、これを一般会計繰入金に依存しており、地方公営企業法適用後もこの経営体質は変わらないと予想される。施設は供用開始してから13~18年が経過しており、とくに機械設備類の老朽化が著しく、長寿命化のたの更新計画が必要である。また、桜江中央は汚泥発酵肥料を生産しているが、今後大規模改修によりコスト削減に努め、長期的な経営を視野に肥料生産の中止も検討する必要がある。今後の経営を考慮して中長期的には料金改定について検討し、持続可能な施設となるよう経常経費の削減に努める。また、企業会計方式を早期に導入し、さらなる経営の効率化と改善を図っていく。