経営の状況について
本市の電気事業としては、小水力発電である布部発電所(225kw)と伯太発電所(95kw)の2施設を運営しており、平成26年度から公営企業会計(法非適用)による会計処理を行っている。それぞれ昭和29年、昭和34年から発電を行っており、施設を修繕しながら運営を行っている。伯太発電所については、固定価格買取制度(FIT)の適用となるよう改修工事を行い、平成28年3月からFIT認定設備として発電を行っている。経営状況の指標である収益的収支比率について、平成30年度は146.6%であり、目標値の100%、平均値の123.2%よりも収益の割合が良い状況である。数値としては、前年度と横ばいであり経営が安定しつつあるが、令和5~6年度に布部発電所改修事業の現地工事を控えており、今後も収支バランスに注視する必要がある。営業収支比率について、平成30年度は445.4%であり目標値の100%、平均値の240.1%よりも良好な状況にある。前年度より減少したのは、主に伯太発電所災害復旧事業費によるものである。供給原価について、平成30年度は前年度より微増の12,189.8円となったが、平均値より低い状況は維持している。EBITDAについて、平成30年度は31,039千円と前年度より減少し、また平均値を下回っているため、今後維持管理費の削減等による経営改善が必要である。
経営のリスクについて
設備利用率について、上昇を続け平成30年度は81.4%となった。効率的な運用が行えている。修繕費比率について、平成30年度は伯太発電所災害復旧事業により9.2%まで増加したが、水力発電としては平均並みである。企業債残高対料金収入比率について、平成27年度は伯太発電所改修事業による企業債残高の増額と、改修事業中により料金収入が少なかったことで1,694.1%と非常に高い状況であったが、平成28年度からは安定的な料金収入が見込まれるようになり、平成30年度は762.0%であった。FIT収入割合について、平成30年度は前年度と横ばいのが65.5%であった。
全体総括
昭和29年及び昭和34年から稼動してきた2つの小水力発電所のみの事業である。伯太発電所は平成28年3月からFITによる発電を開始し、安定的に運営を行っている。布部発電所についても、現在改修事業に着手しており、令和6年度からFITによる発電を開始する予定である。また、令和2~4年度は既存設備での運転でありながらFIT単価が適用される見込みとなり、収支に余裕が生じる期間となる。今後は、より安定的な経営を行うことを目指すと共に、令和2年度中に経営戦略を策定し、FIT適用終了後の運営についても検討を進めていく。