経営の状況について
本市の電気事業としては、小水力発電である布部発電所(225kw)と伯太発電所(95kw)の2施設を運営しており、平成26年度から公営企業会計(法非適用)による会計処理を行っている。それぞれ昭和29年、昭和34年から発電を行っており、施設修繕を行いながら運営を行っている。伯太発電所については、固定価格買取制度(FIT)による運営を行うために改修工事を行い、平成28年3月からFITによる運営を開始したところである。経営状況の指標である収益的収支比率について、平成29年度は154.4%であり、目標値の100%、平均値の121.3%よりも収益の割合が良い状況である。前年度に比べると数値が下がっているが、これは、伯太発電所改修事業による地方債償還金が増加したことによるものである。平成30年度以降は、伯太発電所災害復旧工事及び布部発電所改修事業による地方債償還金が増加するため、収支バランスに注視する必要がある。また、営業収支比率も平成29年度が529.2%であり目標値の100%、平均値の247.9%よりも良好な状況にある。供給原価について、伯太発電所改修事業による地方債償還金が増加したことにより11,649.8円と前年に比べ高くなったが、平均値の19,210.5円よりも低い状況である。EBITDAについては、伯太発電所のFITによる売電を開始したことにより、平成28年度は平均を大きく上回る48,997千円であったが、平成29年度は平均と同程度の32,377千円に留まった。伯太発電所のFITによる売電の開始により経営状況は概ね良好であるが、引き続き費用削減に心がけ健全経営を続けていく必要がある。
経営のリスクについて
設備利用率について、平成29年度は80.5%であった。伯太発電所の改修事業が終了し平成28年3月から発電を再開したことにより設備利用率が増加したものである。修繕費比率は平成29年度で3.4%と、前年度と横ばいである。企業債残高対料金収入比率について、平成27年度は伯太発電所改修事業による企業債残高の増額と、改修事業中により料金収入が少なかったことで1,694.1%と非常に高い状況であったが、平成28年度からは安定的な料金収入が見込まれるようになり、平成29年度は803.5%であった。また、伯太発電所のFITによる売電を開始したことにより、FIT収入割合が65.1%となった。
全体総括
昭和29年及び34年から稼動してきた2つの小水力発電所のみの事業である。伯太発電所は平成28年3月からFITによる発電を開始し、安定的に運営を行っている。布部発電所についても、現在、発電施設機器製作据付工事に着手しており、平成33年度からFITによる売電を開始する予定である。今後、老朽化している施設を改修し、全ての発電所をFIT適用することにより安定的な経営を行うことを目指すと共に、平成32年度までには経営戦略を策定し、FIT適用終了後の運営についても検討を進めていく。