経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、過去4事業年度を含め99%以上を継続しており、経営の健全性は概ね良好といえる。しかし、総収入の大半を一般会計からの繰入金に依存しているため、さらなる経費削減等による繰入金の縮減を図る必要がある。また、今後の更新投資等に充てる財源確保がないことが継続課題である。企業債残高対事業規模比率は、使用料収入の減少により、3か年続けて100%を超えている。この要因の一つとして、分流式下水道に要する経費として地方債現在高の一部を一般会計が負担しているが、その負担率が低下したためである。ただし、類似団体と比較してまだ低くなっている。経費回収率は、当年度は95%を超えているが、世帯数の減少に伴う使用料収入の減少が現実化してきており、継続的に歳出の縮減に取り組む必要がある。汚水処理原価は、前年度と比較して減少し、類似団体と比較しても低いが、維持管理費節減により、さらなる逓減が可能と見込まれる。施設使用率は、類似団体と比較して高い水準を維持しているが、5割超であることから、中長期的な終末処理場の統廃合等を検討する時期にある。水洗化率は、類似団体と比較して高く、概ね良好といえる。安定的な使用料収入の確保や水質保全の観点から、さらなる水洗化率の向上と、同指標の推移を注視する必要がある。
老朽化の状況について
昭和61年8月の供用開始から32年経過するが、管渠の更新化は未着手である。区域内人口の減少及び施設の老朽化のため修繕費が増加してきている処理区域について、一部を公共下水道に統合し、維持管理費を含めライフサイクルコストの最小化を図る。
全体総括
施設の維持管理費は全て使用料収入で賄うことを経営方針の基本に据えた事業運営を今後も継続していく。当年度も世帯数の減少に伴う使用料収入の減少があり、維持管理費においても一般会計からの繰入金に依存しているため、引き続き経費削減に取り組むなど健全経営に向け努力する必要がある。また、資産状況等を把握し健全な経営を行うため、公営企業会計の適用について取組を進める。