経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、過去4事業年度を含め99%以上を継続しており、経営の健全性は概ね良好といえる。しかし、総収入の大半を一般会計からの繰入金に依存しているため、さらなる経費削減等による繰入金の縮減を図る必要がある。また、今後の更新投資等に充てる財源の確保がないことが継続課題である。企業債残高対事業規模比率は、使用料収入の減少もあり、経年で比較して前年度同様100%を超えている。この要因の一つとして、分流式下水道に要する経費として地方債現在高の一部を一般会計が負担しているが、その負担率が低下したためである。ただし、類似団体と比較してまだ低くなっている。経費回収率は、平成28年度は95%近くまで上昇したが、平成29年度は85%となり平成27年度以前の数値並みとなった。世帯数の減少に伴う使用料収入の減少、維持管理費の増加が要因となっている。今後も継続的に歳出の節減に取り組む必要がある。汚水処理原価は、平成28年度と比べ増加している。類似団体と比較しても低いが、維持管理費の節減により、更なる逓減が可能と見込まれる。施設利用率は、類似団体と比較して高い水準であるが、5割超であることから、中長期的には終末処理場の統廃合等を検討する時期にある。水洗化率は、類似団体等比較して高く、概ね良好といえる。安定的な使用料収入の確保や水質保全の観点から、更なる水洗化率の向上と、同指標の推移を注視する必要がある。
老朽化の状況について
昭和61年8月の供用開始から30年以上経過するが、管渠の老朽化が進んでいないため、更新等の老朽化対策には着手していない。
全体総括
施設の維持管理費は全て使用料収入で賄うことを経営方針の基本に据えた事業運営を今後も継続していく。平成29年度も世帯数の減少に伴う使用料収入の減少が現れていること。また、今後必要となる更新投資を見据え、引き続き経費削減に取り組むなど、健全経営に向け努力する必要がある。中長期的には、3か所ある終末処理場の統廃合を進め、持続可能な事業運営に努めていく。