地域において担っている役割
宇陀市は東和医療圏の中山間地域に位置し、広大な面積で交通の便が良くない地域が点在しています。このような状況のなか、宇陀市民のほか、曽爾村、御杖村、東吉野村等の市外患者を幅広く受入れ、診療所への医師派遣などを通じて宇陀地域の医療を広く担っています。また近年、内科系開業医の閉院が相次ぎ、地域における医療資源が減少しており、二次救急医療機関の機能のほか、プライマリケアとしての機能、そして、令和2年度からは新型コロナウイルス感染症疑似症患者、令和3年度からは新型コロナウイルス感染症確定患者の受入を開始し、地域における感染症対策の役割も担っています。
経営の健全性・効率性について
平成26年10月に地域包括ケア病棟を2病棟87床導入したため、類似団体平均より高い病床利用率となり、令和元年には宇陀市が奈良県立医科大学に寄付講座を設置したことにより、医師が派遣され、更に病床利用率が高くなりましたが、令和2年度からは新型コロナウイルス感染症疑似症患者用病床及び感染対策用休止病床、令和3年度からは新型コロナウイルス感染症確定患者用病床を設けた為、病床利用率が低下しました。また、令和3年度の経常収支比率は新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業補助金を計上した為、100%を超えて経常利益を計上しました。
老朽化の状況について
平成25年度に新病院を建築したことにより、平成26年度以降減価償却が計上されるようになり、その後大きな建設事業を行っていないため、有形固定資産減価償却率は、類似団体及び全国平均よりも低位となっております。他方、器械備品のみに限定すると、新病院建設時に購入した器械備品の減価償却が進み、償却限度額近くまで償却が行われているものがあるため、器械備品減価償却率は平成28年度以降、類似団体及び全国平均よりも高位となってきていましたが、令和元年度に電子カルテシステムを導入したことにより、当該年度以降は類似団体平均よりも低くなっております。
全体総括
宇陀市立病院は宇陀地域唯一の公立病院として、地域包括ケアシステムの中核的な役割、プライマリケアとしての役割、救急告示病院としての二次救急の役割、新型コロナウイルス感染症患者への対応といった役割を果たしています。更に、令和元年には宇陀市として奈良県立医科大学への寄付講座を設置させていただき、医師の増員が実現した為、通院困難な患者様に対する訪問診療を開始しております。こうした地域の医療需要に応える為にも持続可能な病院経営が課題となっており、収支改善に取り組んでまいります。