地域において担っている役割
浜坂病院は、救急告示病院として救急患者を受け入れていますが、手術が出来ないため町内の救急患者の約7割を占める鳥取や豊岡の急性期病院での治療を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する回復期機能を担っている。また、回復期、更には退院後の在宅期の対応強化を図るため、訪問医療・訪問看護・訪問リハビリの実施により「切れ目のない医療」を提供し、町内における地域包括ケアシステムの中核を担う公立病院として役割を果たし、住民の健康維持・増進を図っている。
経営の健全性・効率性について
入院・外来単価とも微増したが、入院・外来患者数が減少しており収益も減収した。施設や医療機器等の老朽化や更新時期により計画的な修繕や更新を図っているが、突発的な修繕を優先的に対応しているため修繕費に増減がある。また、設備の更新により光熱水費や燃料費が減少し、医師や看護師の若年化や退職により給与費も減少した。これらが各比率の低下や上昇に影響している。地域医療連携の強化と確立、地域包括ケアシステムの推進を図るため訪問看護、訪問リハビリを開始した。当年度純利益により累積欠損金の減少となった。
老朽化の状況について
施設や設備は、建築後37年が経過している。補修や修繕をしながら使用している状況である。施設の老朽化が進み、更新が出来ていない状況ではあるが、施設状況や経営状況、更新計画等を勘案しながら緊急性のあるものを優先的に改修しており、今後も同様の状況で改修を実施していく。施設の建替等の大規模な改修は、今後検討していく。
全体総括
医業収益の増加により経営指標の改善を図るため、経費の節減に努め、患者数の増加を図った。が、患者数は減少し、医業収益も減少した。具体的には、4月から院長を含め4名の総合診療科医師と1名の整形外科医師を迎え常勤医師5名で診療を開始したが、5月に整形外科医師が退職し、整形外科入院患者が診療できなくなり、外来は非常勤医師での週2日の診療体制となった。地域連携室は他院との連携強化に取組み、医師確保対策の専属職員により病院改革の取組みを進めた。地域包括ケア病床の積極的な活用を図り、訪問診療・訪問看護・訪問リハビリの訪問事業を開始し、在宅期の対応強化に努め、取組の柱である「総合診療」「予防医療」「在宅医療」を推進し、地域医療と持続可能な病院運営における良質な医療の確保を目指した。院内環境整備や医師確保対策、地域住民を対象とした講座や教室の実施、地域住民の健康維持や増進に努め、患者数や収益の増加に努めた。昨年度、「公立浜坂病院のあり方検討委員会」が浜坂病院のあり方・位置づけについて検討を行った結果報告書が提出され、行政と一体的に具体的な方向性の検討を行うため、「地域包括ケアシステム推進プロジェクトチーム」が設置され、町内の中核公立病院としての役割を再認識し、住民の健康維持・増進を図り、経営改善・安定化に努めた。