地域において担っている役割
兵庫県北西部に位置し人口減少及び高齢化が進む地域において、市内唯一の急性期病院であり、へき地拠点病院の指定を受けている当院は診療所では提供が困難な救急・急性期医療を提供していくことに加え、地域包括ケアシステムの基幹病院としての役割も担っている。
経営の健全性・効率性について
医業収益については、コロナ感染症の影響により、入院外来とも収益は落ち込んでいる。しかしながら、手術件数は令和元年度を上回る状態を保ち、救急車の受入れについては、全体的な搬送件数は減少しているものの応需率については、令和元年度と変わりない状況を維持できている。こういった取組みにより、患者一人当たりの診療単価を落とさないよう努めている。累積欠損金については、資本金を減少、いわゆる減資をし、利益剰余金に振り替えることで累積赤字を解消させ、財務状況を的確に示している。
老朽化の状況について
現病院は、建設から36年が経過し、有形固定資産減価償却率及び器械備品減価償却率は、令和2年度に電子カルテの更新を行ったことにより、若干減少しているが、類似病院平均値を上回っている。1床当たり有形固定資産の割合は、コロナ禍において積極的な投資を行ったが、類似病院平均値及び全国平均値に比べ、当院の投資額は低い状況となっている。現在病院建替え事業を進めており、今後新病院を見据えた長期的・計画的な投資を行っていく。
全体総括
令和2年度は内科・外科の午後診療や小児科の休日応急診療を継続実施するとともに、救急患者受入体制の強化を図った。一方、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い一定の診療控えの状況が起きるとともに、「新型コロナウイルス感染症重点医療機関」として指定を受けたため、令和2年11月から一般病棟をコロナ専用病棟として改変し、コロナ患者を受入れた。このように患者確保に取り組んだものの、入院外来とも患者数が減となったが、診療単価の一定水準の維持に加え、コロナ関連補助金が約5億円あったため、約4億9千万円の純利益となり、元年度に引き続き黒字となった。引き続き経営改善に努め、本市の地域包括ケアシステムの中核を担う医療機関として、地域の皆様から信頼される病院を目指していく。