経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、累積欠損金比率、料金回収率経常収支比率、料金回収率は前年度の値を下回ったが、ともに100％以上を維持しており、累積欠損金も発生していないことから、収益性は良好であると考えられる。②企業債残高対給水収益比率基幹的施設であるゆめが丘浄水場への先行投資等により、類似団体と比較して高い水準となっているが、企業債の償還が新規借入を上回っている状況が続いていることから、数値は改善傾向にある。③給水原価経常経費の増加等により前年度より高い値となっており、類似団体と比較しても高い水準で推移している。給水人口の減少等に伴い有収水量が減少傾向にあることから、今後もこの傾向は続くと見込まれるため、効率的な施設運用による維持管理費の抑制等の取り組みをさらに進めていく必要がある。④有収率前年度と比較してわずかな改善が見られるが、類似団体と比較して低い値での推移となっている。これは料金徴収の対象とならない漏水によるものが主な要因と考えられるため、より効果的な漏水調査の実施による漏水箇所の特定や修繕、また、配水ブロックの見直しによる効率的な配水系統の確立等の対策が必要である。
老朽化の状況について
基幹的施設であるゆめが丘浄水場は、建設後10年であり比較的新しいことから、資産の老朽化度合を示す有形固定資産減価償却率は、事業全体としては低い値となっている。しかしながら個々の浄水施設等では老朽化が進んでいるものや、小規模で非効率な施設が多いことから、こうした施設の廃止・統合による施設運用の効率化を進めており、今後も施設の統廃合や給水需要に見合った規模・能力への改修などの取り組みを計画的に進めていく必要がある。管路については更新率が低い値で推移しているため、効率的かつ計画的な管路更新に向け、正確な管路情報に基づく老朽化状況の把握が行えるよう、管路管理システムのバージョンアップに係る調査等を進めているところである。
全体総括
給水人口の減少に伴う水需要の減少が見込まれる中、老朽化が進む施設の更新に多額の費用が必要となるなど、厳しい経営環境は今後も続いていくものと見込まれる。こうした状況の中、基幹施設であるゆめが丘浄水場を最大限に活用することを前提とした施設運営の適正化等により、コスト縮減の取り組みを計画的に進めていく必要がある。また、財源確保の取り組みとしては、近年伸びが見られる工場等大口需要者の水需要の増加を促し、料金収入の維持・安定につなげるため、H31.1月から大口需要者向けの料金減額制度を導入したところであり、引き続き伊賀市水道事業基本計画及び伊賀市水道事業経営戦略に位置付けた施策を推進することで、投資と財源の両面から経営基盤の強化に向けた取り組みを進めていく必要がある。
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