経営の健全性・効率性について
令和元年度から地方公営企業法の一部適用となった。①経常収支比率は100%を超えているが、一般会計からの繰入金に大きく依存している。③流動比率は令和2年度の類似団体平均値より大きく下回っており、流動資産で流動負債を賄えていない。管渠布設工事等に係る企業債の償還金が流動負債の65%近くを占め、大きい負担となっている。支払能力を高めるため、使用料収入の確保を図り、経営の健全化を進める必要がある。④企業債残高対事業規模比率は令和2年度の類似団体平均値とほぼ同じである。現在、未普及解消に向けた面整備工事を順次進めているため、企業債については必要な借入れと認識している。⑤経費回収率は類似団体平均値を大きく下回っており、使用料で回収すべき汚水処理費を使用料で賄えていない状況にある。汚水処理費は流域下水道維持管理費負担金や減価償却費、企業債利息の割合が高く大幅な削減は難しいが、不明水対策や費用削減に努めるとともに、面整備の推進や接続促進により、使用料収入を増加させていく必要がある。⑥汚水処理原価は類似団体平均値を上回っている。令和元年度と比較して数値が高くなったのは、不明水増加による汚水処理費の増加が原因と考えられる。不明水対策や、接続促進による有収水量増加により、汚水処理原価を下げる必要がある。⑧水洗化率はほぼ類似団体平均値と同じである。面整備工事を順次進めているため、水洗化人口も処理区域内人口も増加している。経営の健全化のためにも引き続き接続促進を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産原価償却率は、地方公営企業法の一部適用となって2年目のため、令和元年度の約2倍となっており、類似団体平均値とほぼ同じである。本市の公共下水道は、平成元年度に建設事業を開始しており、事業開始から30年程度しか経過していないことから、法定耐用年数を経過する管渠はなく、老朽化は比較的進んでいないと考えられる。そのため、③管渠改善率も高くはないが、今後、修繕を必要とする管渠は増加していくと見込まれるため、既存の管渠の補修・改築を適時に行う必要がある。
全体総括
⑤経費回収率、⑥汚水処理原価の状況を考えると、本市の公共下水道事業の経営状況は決して健全とは言えない状況にある。使用料収入が少ないことで、必要な費用を賄うために一般会計からの繰入金に依存していることが大きな要因である。今後は修繕を必要とする管渠が増加し、更に補修費用がかかることが見込まれる。そのため、引き続き、持続可能な事業運営に向けて、汚泥処理の共同化などの広域化・共同化に向けた検討を進めてコスト削減を図るとともに、接続促進、収納対策、使用料体系の見直し等の方策により、使用料収入を増加させる取り組みを進めていく。経営戦略については令和3年3月に策定した。見直しは令和5年度~令和7年度を予定している。