地域において担っている役割
静岡医療圏の基幹病院として、急性期および高度急性期医療を担っている。特に心臓病治療の実績は高く、先進的ながん治療など、高度で良質な医療の提供に努めている。また、断らない救急医療、質の高い高度急性期・急性期医療の提供を通じ、より多くの急性期患者、新規患者の受入を進めるとともに、地域の医療機関や介護施設、異なる機能を有する病院・病床等との連携や、紹介・逆紹介などを通じて、地域完結型医療の実現に寄与している。
経営の健全性・効率性について
経常収支は66百万円の利益計上となり、経常収支比率は100.3%となった。医業収支比率は、給与費や材料費が増加したが、それ以上に入院収益・外来収益が増加したため、98.4%と前年度を上回った。病床利用率は平均在院日数が前年度対比で0.1日短縮したが、新入院患者数が389人上回り、90.8%となった。入院患者1人1日当り収益は、診療報酬の増額となる施設基準の新規届出や算定率の向上を図り前年度より増加した。外来患者1人1日当り収益は前年度からほぼ横ばいとなった。職員給与費対医業収益比率は、入院収益及び外来収益の増加が著しかったことにより前年度対比で低下した。材料費対医業収益比率は、高額薬剤や保険償還分診療材料の使用が増加したが、入院収益及び外来収益の増加が著しかったことにより前年度からほぼ横ばいとなった。
老朽化の状況について
償却率については、平成28年度の独法移行時での開始貸借対照表作成に当たり、固定資産を再評価し、耐用年数が経過したもの及び取得価格から減価償却累計額を差し引いて10万円以下となるものは固定資産に計上しなかったため、有形固定資産減価償却率及び器械備品償却率は全国平均値及び類似病院平均値を大きく下回るという背景がある。平成30年度の有形固定資産減価償却率及び器械備品償却率は、平成29年度取得の器械備品等の減価償却費が計上されたため上昇した。平成30年度の1床当たり有形固定資産については、取得価額に対し、除却した有形固定資産が僅少だったことから平成29年度対比で上昇した。
全体総括
平成30年度は材料費や給与費等の増加はあったが、それ以上に患者数増加に伴う入院収益増加等により、経常収支が黒字となった。経営の健全性・効率性の各指標が向上したが、医療を取り巻く経営環境からは、今後も厳しい経営状況が見込まれる。今後も中期計画に基づいた取組みを着実に行うことや、患者数や診療報酬の動向を見据えた収益増加対策、経費の増加や働き方改革に伴う人件費増加を最小限に抑える施策を行い、安定的な経営と市立病院としての役割を継続していく。