経営の健全性について
平成30年度決算において経常収支比率、営業収支比率、流動比率ともに平均値を上回っている。前年度に対し経常収支比率、営業収支比率ともに運転費や修繕費などの経費削減により比率が上昇した。また、累積欠損金及び企業債残高は無く、平成25年度以降は一般会計からの繰り入れも無く、独立採算により運営が行われている。利用者1回当たり運行経費については、平均値を大幅に上回っているが、市内を走る路線バスと異なり、登山者を主とした山岳観光利用者に向けた路線運行となっているため、運行期間が限られ天候にも大きく左右される利用形態が要因となっている。有形固定資産減価償却率について、前年に引き続き上昇し有形固定資産の減価償却が進み車両が老朽化していることから、経営の効率化と併せて計画的な更新に向けて検討を進める必要がある。
経営の効率性について
走行キロ当たりの収入・運送原価共に平均値を大きく上回っており、走行キロ当たりの収入は前年に引き続いて上昇した。走行キロ当たりの運送原価についても昨年に引き続き上昇したが、営業費用の削減に向けた取り組みにより営業費用は昨年より減少しているが、利用者減による実車走行距離の減少に合わせた運転費用の削減に今後も取り組んでいく必要がある。国立公園を含む山岳地帯を運行する路線バスであり、季節運航となる自然的要因や自然保護の観点による規制など、経営の効率性に向けては様々な課題があるが、収入に対する経費が増加傾向とならないよう努めていく必要がある。
全体総括
バス利用者の運賃が収入となることから、登山者を主とした山岳観光利用者の動向や需要のさらなる分析調査を行い、利用者ニーズに合い、かつ効率的なバス運行となるよう努めていく必要がある。また、バス運行経費の大半を占める人件費について、現在規制されている「小型バス」の要件緩和に向けて関係諸団体との調整を進め、経営効率化を図っていく。今後、更なる経営の健全性と効率性の向上に合わせ、令和元年度中に経営戦略を策定し、経営基盤の強化と財政マネジメント向上を図っていく必要がある。