地域において担っている役割
当院は、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院、救命救急センター、地域周産期母子医療センター等の指定を受けており、飯伊医療圏における中核病院として、救急医療、周産期医療、高度医療など急性期医療を中心に、地域の皆さんに安全・安心で質の高い医療を提供する役割を担っている。新型コロナウイルス感染症への対応として、感染症指定医療機関として、外来診療のほか入院診療に関しては長野県から重点医療機関の指定を受け、専用病棟に必要な病床を確保し、即応した対応を果たしている。
経営の健全性・効率性について
令和2年度決算は、純利益が5億9,500万円余となり3年連続で黒字決算となった。収益については、入院及び外来収益は5億5、000万円余減となったが、いずれも診療単価が増加したことで、患者数の減少率よりも収益の減少率は抑えられた。一方費用は、給与費が6,300万円の増となったものの、材料費が薬品費の減などで5,400万円の減、経費が6,300万円の減となるなど、医業費用全体で4,300万円の減となった。令和元年度から3年間の中期計画の取組として、各部署で行動計画を策定し、基本方針の実現に向けた取り組みを進めている。患者数は減少したものの重症例の手術や検査、リハビリテーションの回数の増加等、当院として求められる医療を実践してきている。今後も救急車の受入、各種指導料や加算の算定、リハビリテーションの充実、逆紹介の推進等を行い健全経営に取り組む。
老朽化の状況について
左記の有形固定資産減価償却率によると、当院の資産は平均より老朽化が進んでいる状況にある。本館は平成4年に建築され、建築後27年が経過していることから、平成30年度から令和2年度までの3年計画で全病棟の長寿命化事業を行ってきている。
全体総括
令和2年度決算は補助金収入が大幅な黒字の要因とはなったが、新型コロナウイルス感染症への対応を最優先としつつも中期計画の目標達成に向けた取組を着実に進めたことで、医療の質の向上が図られるとともに医業収益の確保や健全な病院経営の推進に繋がった。新型コロナウイルス感染症の収束は未だ見通せない状況にあるが、地域の医療を守り、地域住民の健康を支えるという当院の使命を果たしていきたい。