上田市：上田駅お城口自動車駐車場

収益等の状況について

①収益的収支比率は129.5％でH29、H30年度に引き続き、黒字決算。要因はH28年度に当初建設費用のための地方債の一部が償還（返済）済みとなったことによる、当該支出の減による。これに伴い、①他会計補助金比率及び③駐車台数1台当たりの他会計補助金額の各指標も0.0％、0円となっている。令和元年度決算においては、将来的な施設改修や更新に備え、利益剰余金の一部について基金への積立てを行った。④売上高GOP比率及び⑤EBITDA額については、類似施設平均値及び令和元年度全国平均値を上回る高い値で推移。このうち、⑤のH29年度の減事由は施設改修工事費用の支出によるもの。

資産等の状況について

⑦令和元年度の施設敷地の土地単価は、駅前であることから、近接の固定資産税の路線価で94,500円/㎡、相続税路線価で110,000円/㎡である。しかし、敷地は、未接道で、JRの駅舎に沿った間口狭小の細長い土地で、土地価格はこれら単価から更に減価が予想される。他用途への転換は困難であり、現在の駐車場(建設から23年が経過)としての用途は、最有効利用の一つである状況。⑧設備投資見込額は、料金精算機器の更新や施設躯体の修繕費用等として、今後10年間で10,000千円を見込む。⑩企業債残高対料金収入比率は、H29年度に施設改修工事を行うため、新たに起債したが、今後についても、収益状況や基金の積立状況をみながら資金調達し、また、計画的な修繕により、修繕費用の平準化を図る。

利用の状況について

⑪稼動率は、H29年度は施設改修工事により利用できない期間があったため、類似施設平均値を下回ったが、H30年度は、平均値並みの稼働率となった。R01年度は、年度末に新型コロナウイルス感染症により新幹線利用者の減少による影響が出始めたため、減少傾向となった。近隣には民間の時間貸し駐車場等の同種施設が多いが、上田駅（JR、しなの鉄道、上田電鉄別所線）駅舎に隣接して在る、場所的な優位性もあり、引き続き、それらの利用客などの一定程度の利用が見込まれる。一方、新型コロナ感染拡大による影響で、今後、新幹線利用者の減少が予想されるため、駐車場利用状況にも影響が出ると思われる。

全体総括

本施設の収入は駐車場使用料、支出は施設管理費用と限定的な収支構造であり、また、施設管理費用は人件費に係る支出が多くを占める状況である。一方、利用状況は、本施設の立地上の優位性により、安定的な利用料収入の確保が見込まれるが、上田駅や駅前ビル周辺施設の利用者は、ある程度の時間を駐車していることから、回転率を上げる方法での稼動率アップは見込めない。また、新型コロナの全国的な感染拡大により、都心への移動が自粛されるなどで新幹線利用者が減少傾向にあるため、今後駐車場利用者数に大きな影響が出ると予想される。このような中、引き続き人件費を含めた経常的な経費の削減と、計画的な修繕実施による修繕費用の平準化を図り、安定的な経営に努めたい。