経営の健全性・効率性について
経常収支比率が100%を超え、累積欠損比率が0%であることに加え、料金回収率が100%を超えていることから、経営の健全性は保たれていると考えられる。流動比率は、短期支払能力の目安である100%を大きく上回っている。企業債残高対給水収益比率は、平成27年度よりほぼ横ばいで推移しているが、必要な更新を行いつつ、適正な料金収入を維持する必要がある。給水原価は、類似団体平均値より低い水準で推移しているが、平成27年度から年々上昇しており、施設の老朽化が進む中、今後の更新により更に給水原価の上昇が考えられる。施設利用率は、人口減少や節水機器の普及等の社会情勢の変化により、50%台を推移しており、配水能力に余剰が生じている。有収率は平成30年度に比べ、0.47%改善されたものの、類似団体平均値より低い水準にある。この主な原因は、管路の老朽化に伴う漏水によるものと推定されており、漏水を解消することが必要となっている。同規模市町村と比較し、経常収支及び料金回収率について、上回っているため、経営の健全性は保たれている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、増加傾向にあり、令和元年度は51%を占めるまでになった。管路経年化比率は、平成30年度に比べ0.45%改善されたが、依然、施設の老朽化が進行している状況である。また、管路更新率は類似団体平均値と比較して低水準であるが、経年管路を中心に布設替を行っている現状である。同規模市町村と比較し、管路経年化率は、下回っているものの、法定耐用年数を経過した管路を多く保有している。また、管路更新率の現状を踏まえ、経年管路の更新や耐震性の高い管の更新を計画的に実施していく。
全体総括
現状を総じて、健全経営を維持しているが、今後の人口減少及び節水機器の普及等により、料金収入が減少する一方で、多大な施設を維持していることから、施設の更新費用、修繕費用の増加が見込まれる。老朽化している施設については、アセットマネジメント等に基づき、計画的に更新を進めていく。配水能力に余剰が生じている施設については、施設の統廃合(ダウンサイジング)等により、施設規模の適正化を図っていく。有収率の低さについては、漏水が主な原因と推定されていることから、漏水調査を実施し、漏水箇所の補修及び更新を継続的に実施し、有収率の向上に努める。