経営の健全性・効率性について
経常収支比率が100%を超え、累積欠損比率が0%であること、加えて料金回収率が100%を超えていることから経営の健全性は保たれていると考えられる。流動比率は、短期支払能力の目安である100%を大きく上回っている。企業債残高対給水収益比率は、平成27年度よりほぼ横ばいで推移しているが、必要な更新を行いつつ、適正な料金収入を維持する必要がある。給水原価は、類似団体平均値より低い水準で推移しているが、平成27年度から年々上昇しており、施設の老朽化が進む中、今後の更新により更に給水原価の上昇が考えられる。施設利用率は、人口減少や節水機器の普及等の社会情勢の変化により、50%台を推移しており、配水能力に余剰が生じている。有収率は平成27年度に86%と上昇したものの、類似団体平均値より低い水準にある。この主な原因は管路の老朽化に伴う漏水によるものと推定されており、漏水を解消することが必要となっている。同規模市町村と比較し、経常収支は同程度または上回っており、料金回収率についても同様のことがいえるため、経営の健全性は保たれている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は増加傾向にあり、平成30年度は49%を占めるまでになった。管路経年化比率も同様に増加傾向にあり、施設の老朽化が進行しており、法定耐用年数を超える管路延長が増えている。その反面、管路更新率は類似団体平均値と比較して低水準であり、管路の更新は老朽化の進行具合に比較すると緩やかに実施している状況となっている。同規模市町村と比較し、管路経年化率は同程度または上回っており、法定耐用年数を経過した管路を多く保有しているといえる。管路更新率についても同様のことがいえるが、管路経年化率の現状を踏まえ、耐震性の高い管の更新を計画的に実施していく。
全体総括
現状を総じて健全経営を維持しているが、今後、人口減少や節水機器の普及等により料金収入が減少する一方で、多大な施設を維持していることから、施設の更新費用、修繕費用の増加が見込まれる。老朽化している施設については、アセットマネジメント等に基づき、計画的に更新を進めていく。配水能力に余剰が生じている施設については、施設の統廃合(ダウンサイジング)等により、施設規模の適正化を図っていく。有収率の低さについては、漏水が主な原因と推定されていることから、漏水調査を実施して、漏水箇所の補修・更新を継続的に実施し、有収率の向上に努める。