経営の状況について
・経常収支比率オーバーホール等により修繕費のバラつきはあるものの過去5年間において継続して100%以上であり、一般会計からの繰入金等もないことから、収益性は概ね良好である。・営業収支比率過去5年間において継続して100%以上であり、また更新投資等に充てる財源も確保しており、経営の健全性は確保されている。・流動比率過去5年間において継続して100%以上であり、企業債償還額も減少傾向にあることから、短期的な債務の支払能力は確保されている。・供給原価過去5年間において継続して平均値を下回っており、今後とも維持管理費の低減に努める。・EBITDAオーバーホール等により修繕費のバラつきはあるものの、過去5年間、経年比較して上昇しており、収益性は良好である。
経営のリスクについて
【水力発電】・設備利用率平成28年度では平均値を下回ったものの、平成29年度には再び平均値を上回っており、概ね良好であるが、発電停止を必要とする大規模修繕については、発電所の停止期間を極力短縮することなどにより、設備利用率の維持・向上を図るよう努めていく。・修繕費比率平成28年度では平均値を下回ったものの、平成29年度には再び平均値を上回っており、設備の老朽化等の進行に伴い、修繕費が増加傾向にあることから、設備の更新や修繕工事などの実施にあたっては、機能・性能等を検討するとともに、工事費の低減や費用対効果を考慮しながら、保守管理を低減できる機器等を導入し、維持管理費の低減に努める。・企業債残高対料金収入比率企業債残高は当面は減少する傾向にあるが、将来的に順次、発電所のリプレイスを行っていく必要があり、そのリプレイスに係る起債により増加していく見込みである。・有形固定資産減価償却率経年比較して上昇傾向にあり、耐用年数を超えている資産も多いことから、計画的・効率的な長寿命化対策や、将来の発電所の全面的改修のあり方等について研究していくとともに、施設状況を的確に把握し、効率的な改修及び修繕工事を計画・実施していく必要がある。・FIT収入割合平成29年度には平均値を上回っており、また、平成34年度末で現在FIT適用を受けている主要な発電所(新大長谷第一発電所)の調達期間が満了となることで、平成34年度以降の収入が減少するリスクが高いことから、電力システム改革の進展や、国内電力市場の動向、他の公営企業の個別対応状況等に留意しつつ、平成28年度開催の「富山県再生可能エネルギー等推進会議」での議論も踏まえて、新たな電力供給のあり方等について、継続的に検討していく。【太陽光発電】・設備利用率概ね良好であり、今後とも設備利用率の維持・向上を図るよう努めていく。・修繕費比率及び有形固定資産減価償却率平成28年3月から運転開始した施設であり、今後とも施設の状況の把握に努め、適切な整備を行っていく。・企業債残高対料金収入比率企業債の借入をしていない。・FIT収入割合FIT適用期間が平成48年2月で満了となることで、平成49年度以降の収入が減少するリスクが高いことから、電力システム改革の進展や、国内電力市場の動向、他の公営企業の個別対応状況等に留意しつつ、平成28年度開催の「富山県再生可能エネルギー等推進会議」での議論も踏まえて、新たな電力供給のあり方等について、継続的に検討していく。
全体総括
経営の状況は概ね良好であり、当面の間、収益性は安定傾向にあるものの、固定価格買取制度の適用終了後、買取単価が下落し、収入が減少するリスクがあるとともに、電力システム改革による卸供給規制の撤廃により、将来的な料金設定が不透明な中、財源確保のため、安定的に利益を計上していく必要がある。また、発電所の老朽化が進み、施設・設備の更新や修繕が必要となっており、将来的に、発電所のリプレイスによる支出と、それに係る企業債償還も見込まれるとともに、平成34年度末で現在FIT適用を受けている主要な発電所(新大長谷第一発電所)の調達期間が満了となることで、平成34年度以降の収入が減少するリスクが高いことから、着実に自己財源を確保していく必要があるため、一般会計への繰出しについても長期的な視点で検討する必要がある。このような状況を踏まえ、H28年度に策定した経営戦略(H29~H38)に基づき、経営基盤強化と財政マネジメントの向上を図っていく。