地域において担っている役割
当院は、急性期の患者受け入れや総合的な診療を行うとともに、今後、当医療圏域の高齢化が更に進んでいくことを踏まえ、在宅医療、認知症医療、終末期医療など高齢者を支える医療を提供している。開業医等からは高度医療機器を必要とする患者、高度・救急医療を担う魚沼基幹病院からは回復期の患者の紹介を受けている。反対に、当院で対応できない患者については魚沼基幹病院に紹介するなど、周辺病院と機能・役割を分担し、地域全体で一つの病院として機能するよう連携している。今後は病床機能の転換等に取り組み、地域で不足している回復期機能を強化することで、地域連携のより一層の深化を図りたい。
経営の健全性・効率性について
患者のニーズに即した診療科目を備えることで、一定の患者数は確保できており、不採算地区病院として行政の支援もあるものの、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響による受診控えにより、医業収支比率、経常収支比率ともに大幅に低下してしまった。皮肉なことに開業医の減少により新規外来患者は増加傾向にある。今後、高齢者人口の割合はさらに高まることから、COVID-19の影響が薄まってくれば、外来・入院ともに高い需要が継続し、医業収益は改善できると見込んでいる。さらに回復期リハビリを積極的に受け入れ、入院単価の向上を図るとともに、訪問看護機能など在宅部門の拡充を図ることで増益を目指していく。なお、内科診療を主体とするゆきぐに大和病院とは電子カルテを共有、MRI等の高度医療機器を必要とする患者の受け入れなど、効率的な運用に努めている。
老朽化の状況について
病院建設から5年が経過したところであり、老朽化は進んでいない。今後は、建物や構築物、医療機器の法定耐用年数経過に留意しながら、日常的に保守点検及び修繕を行い、長寿命化に努めていく。
全体総括
市全体の人口は今後も大きく減少が進む一方、高齢者人口は2025年まで増加を続け、その後2040年までは現在よりも高水準で推移するものと推計している。このことから、当院が担う回復期機能、在宅医療、認知症医療、終末期医療など高齢者を支える医療については、長期間にわたり高いニーズが見込まれる。医療再編による機能・役割分担によって、当院が担う医療はますます重要性を増していくことから、持続可能な医療提供体制を構築すべく、医業収支や経常収支比率の改善に努めるなど、経営面の強化に取り組んでいく。