経営の健全性・効率性について
令和元年度においては、従来、営業外収益のうちの多くを占めていた一般会計からの補助金が国の基準を満たさず皆減となり、①経常収支比率が100%を下回ることとなった。また、⑤料金回収率も100%を下回っており、経営に必要な経費を料金収入で賄えず、一般会計からの補助金等に依存していたことが改めて浮き彫りとなる決算となった。②累積欠損金こそ発生していないが、将来的な経営状況は非常に厳しい見通しとなる。③流動比率については、企業債残高が多く、単年度の償還金が多額で推移しているため全国・類似団体平均を下回っているが、100%を超えており、短期債務に対する支払能力は確保されている。また、償還が進み、単年度の償還額は減少してきており、比率は改善傾向にある。⑧有収率は全国・類似団体平均を下回っている。主な原因は漏水であると思われる。継続的な漏水調査と老朽管の計画的な更新により、漏水防止対策を進める必要がある。⑦施設利用率は全国・類似団体平均を大きく下回っている。また、最大稼働率(R1)は36.3%である。これは、計画当時の人口・産業等の将来見込が現状と乖離し、結果的に過大施設となっていることが主な原因である。このことは、施設・設備の維持管理費や減価償却費、企業債利息等の費用、企業債残高が多大なことにつながり、⑥給水原価や④企業債現在高対給水収益比率が全国・類似団体平均を大きく上回っている数値に表れている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は全国・類似団体平均を上回っており、施設の老朽化が進んでいる。②管路経年化率は全国・類似団体平均を下回っており、法定耐用年数を経過した管路は少ないが、年々比率が上昇しており、管路の老朽化の進行に更新が追い付いていない状況にある。③管路更新率も全国・類似団体平均を下回っており、今後、管路経年化率の悪化が懸念される。施設の老朽化が進んでいる中で、浄水・配水設備の修繕費用が増えてきている。経年劣化による故障により水道水供給に支障を及ぼさないよう、計画的な更新を行う必要がある。
全体総括
前年度から給水人口は1.5%、有収水量は3.3%の減少となり、経常収支比率及び料金回収率がともに100%を下回るなど、収益性の低下が顕在化した。施設の維持管理費は一定額が必要で、多額の企業債償還もあり、将来の経営は非常に厳しい状況になると見込まれる。80%前後を推移している有収率について、漏水防止に取り組み比率を向上させることや、県や近隣市町と施設管理や営業業務の情報共有及び広域連携強化を深めるなど、経費削減につながる取り組みを一層強化したい。さらに、全国的にみても高い水準であることから据え置いてきた料金についても、その妥当性について検討を加える時期に差し掛かっている。投資に対する施設利用の効率性が非常に低い当市の課題について、人口や水需要の動向に注視しながら、施設の適正規模や配水方式の見直しの検討をさらに進め、効率的な経営に努める必要がある。