経営の健全性・効率性について
累積欠損金はなく、①経常収支比率も100%を超えている。一方、⑤料金回収率は100%を下回っており、経営に必要な経費を水道料金で賄うことができておらず、一般会計からの補助金などに依存している状況である。しかし、全国的にみても高い料金水準(29年度1か月20㎥当たり家庭料金4,825円、全国平均(H29.4.1現在)3,228円)であるため、市民に負担を求める料金値上げは困難である。借入資本金制度の廃止により、企業債が流動負債に計上され、平成26年度以降の③流動比率は大きく変化している。全国平均、類似団体平均を下回っているが100%を超えており、短期債務に対する支払能力は確保されている。⑧有収率は全国平均、類似団体平均を下回っている。その要因の多くが漏水であることを踏まえると、今後も漏水調査を実施し老朽管の更新等を計画的に行い、漏水防止対策を進めていく必要がある。⑦施設利用率は全国平均、類似団体平均を大きく下回っている。また、最大稼働率(H29)は36.96%である。これは、計画当時の人口・産業等の将来見込みが現状と乖離し、結果的に過大施設となっていることが主たる要因である。このことは、施設・設備の維持管理費や減価償却費、企業債利息などの費用、企業債残高が多大なことにつながり、⑥給水原価、④企業債残高対給水収益比率が全国平均、類似団体平均を大きく上回っている数字に表れている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は全国平均、類似団体平均を若干上回っており、施設の老朽化が進んでいる。②管路経年化率は全国平均、類似団体平均を下回っており、法定耐用年数を経過した管路は少ない状況である。施設の老朽化が進んでいる中で、浄水場及び配水池等の電気設備、ポンプ類等の修繕費用が増えている。機器類の経年劣化による故障などにより、水道水供給に支障を及ぼす危険性があるため、計画的な更新が必要である。③管路更新率は年度により数値のバラつきはあるが、全国平均、類似団体平均を下回っており、今後管路経年化率の上昇につながる恐れがある。管路の更新にあたっては、極力、他事業と同時施工を行いコストの縮減を図っている。
全体総括
経営の健全性は概ね確保されていると言える。しかしながら、企業債償還や給水人口の減少等による水道料金収入の減、国の基準に基づく一般会計からの補助金の減など、今後も経営的に厳しい状況が続いていく。料金改定は市民生活に及ぼす影響が大きいことから、現時点では現行料金を維持しながら、委託料や修繕費といった経費の更なる節減に努めるとともに、減価償却費に比べて元金償還額が大きくなることにより生じる資金不足を補うための企業債の活用などで資金の確保を行っていく必要がある。当初建設時の施設・設備への投資に対し、現在の施設、費用等の効率性が非常に低い状況である。今後の人口や水需要の動向に注視しながら、現在の浄水場も含めた施設規模、配水方式の見直しや施設の更新等の検討を行い、計画的に効率的な経営に努めていく必要がある。