経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:単年度収支が黒字の113.36%となってはいるものの経常収益では使用料金の割合が低く、一般会計からの繰入金に依存している状況である。浄化槽設置基数の増加により収入は増加するが、維持管理費の支出も増加するため、今後も維持管理費の削減に努めていく必要がある。⑤経費回収率:使用料で回収すべき経費を全て賄えていれば100%以上であるが、それを下回る54.03%であり汚水処理費を使用料で賄えていない状況である。前年度比で3.36%改善しているが、今後は使用料水準を評価しながら経営改善を図っていく。⑥汚水処理原価:高度処理が必要な地域であり全国平均及び類似団体と比較して高い313.10円となった。今後は維持管理費の削減に努め、効率的な汚水処理を行っていく必要がある。⑦施設利用率:全国平均及び類似団体と比較して低い53.88%となった。浄化槽設置基数は増加し処理能力は増大するが、節水意識の向上や人口減により処理水量が減少するため施設利用率は、緩やかな減少傾向が予想される。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率:全国平均及び類似団体と比較して低い6.21%となった。要因としては、平成24年度から開始した事業であり資産となる浄化槽については、法定耐用年数に近い資産が少ないことが考えられ、数値については低い値を示している。一方で、将来的には必然的に法定耐用年数が到来し、更新が必要となることから、長期的な展望を持った実効性のある更新計画の策定が必要となってくる。
全体総括
法適用企業となり独立採算を求められる中においては、法適化以前と同様の一般会計からの繰入金に依存している経営体質からは脱却が必要である。独立採算の観点から長期の収支を検討するに当たり、浄化槽の耐用年数経過後の大量更新が使用料収入のみでは困難と思われる。個人に補助金を交付して浄化槽を設置する方式の申請者が多いことから、公共浄化槽の新規設置を縮小し、今後の事業運営を検討する必要がある。