経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:全国平均及び類似団体と比較して低い102.56%となった。比率の要因となっている経常収益については,使用料金の設定が,特定環境保全公共下水道や農業集落排水と比較すると高水準となっている。しかし,今後は人口減少に伴い,収益の増が徐々に見込めなくなることが予想されるため,経常的な維持管理費の削減に努めていく必要がある。③流動比率:全国平均及び類似団体と比較して著しく低い11.77%となった。これは,財源として発行した企業債の償還金が,流動負債の因子となっているためである。今後は,企業債償還の原資を使用料収入等で賄うことが必要となってくるため,接続率の向上に努めていく。⑤経費回収率:全国平均及び類似団体と比較して低い62.78%となった。使用料で回収するべき汚水処理費を使用料で賄えていない現状であり,今後は使用料水準を評価しながら,経営改善を図っていく考えである。⑥汚水処理原価:全国平均及び類似団体と比較して高い264.81円となった。現在は整備計画完了しており,接続率の向上と合わせて維持管理費の削減に努め,効率的な汚水処理を行っていく必要がある。⑧水洗化率:全国平均及び類似団体と比較して低い72.77%となった。今後は接続促進のための広報活動などを強化し,接続率の向上に努めていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率:全国平均及び類似団体と比較して著しく低い3.05%となった。要因としては,法定耐用年数に近い資産が少ないことが考えられる。今後は,耐用年数の到来を見据えて長寿命化計画を策定し,更新・改良を効率的に進めていくことが必要である。
全体総括
経常収支比率が106.67%となり,経営の健全性という観点からは数値上良好な状況となっている。しかしながら,法適用企業となり独立採算を求められる中においては,法適化以前同様,一般会計からの繰入金に依存している現状は必ずしも良好な経営とは言えない状況である。資産となる公共下水道管渠については,将来必然的に法定耐用年数が到来し,更新・改良が必要となることから,長期的な展望を持った長寿命化計画の策定や,実効性のある更新計画の策定が必要となってくる。使用料についても投資規模に見合ったものであるか評価しながら,将来に渡り安定的にサービスを提供できるよう経営の健全化を図っていく必要がある。全体計画を令和3年度に見直す予定である。