経営の健全性・効率性について
「①収益的収支比率」においては,92.24%(前年度比7.76ポイント減)となりましたが,公営企業法の一部適用に伴う打切り決算による,下水道使用料収入の減少が要因であります。今後は更新投資等の増加が予測されるため,引き続き経営改善に取り組みます。「⑤経費回収率」においては,76.26%(前年度比23.73ポイント減)となりましたが,公営企業法の一部適用に伴う打切り決算による下水道使用料収入の減少や,経年劣化に伴う管渠等の補修費の増加が要因であります。今後も更新投資等の増加が予測されるため,使用料改定等を検討する必要があります。「⑥汚水処理原価」においては,有収水量1㎥当たり177.56円(前年度比7.74円増)となりました。下水道利用者は増加しておりますが,使用する水量は減少傾向にあり,その背景には節水型社会が促進されているものと捉えております。その一方,経年劣化に伴う中継ポンプ場等の保守点検費や補修費への支出が前年度より増加したため,汚水処理原価も増加したと推測されます。
老朽化の状況について
特定環境保全公共下水道事業を開始して約32年が経過することから,経年劣化の進行している下水道施設の維持管理費の増大や更新需要の発生が予測されます。特に,下水道整備の進展に伴い,中継ポンプ場を構成する施設・設備の数は膨大であり,下水道施設の老朽化等に起因した事故が発生した場合,事後的な対応では市民生活に大きな支障が出るだけでなくコスト的にも不経済となります。そのため,令和元年度に策定したストックマネジメント計画に基づく対策を実施し,下水道施設における予防保全的な維持管理を行い,設備が使用限界値に達する前に機能回復を図り,耐用年数の延伸とライフサイクルコストの最小化を図ってまいります。
全体総括
下水道事業は,大規模な先行投資が必要なことから,市の財政運営に与える影響は大きいものがあります。さらに今後は,人口減少に伴う使用料収入の減少や施設の本格的な更新時期の到来を踏まえ,下水道事業をめぐる経営環境は益々厳しくなることが見込まれます。このため,未普及地域においては,地域の特性に応じた最適な事業手法を選択し,計画的かつ効率的な整備を行なうと共に,事業の経営に当たっては,人口減少や将来の需要予測等を踏まえ,投資及び維持管理の両面にわたって徹底した効率化・合理化に取り組んでまいります。