経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、⑤経費回収率経常収支比率については、100%を上回ったものの、経費回収率は100%を大きく下回っている。営業収益が使用料収入しか見込めず、整備基数の増加により増収していく見込みはあるものの、汚水処理に係る経費が大きいため、一般会計からの繰入金をもって事業を継続している。そのため使用料収入増と維持管理費用減の取り組みが必要であるが、現状のままでは大幅な増や減は困難であり、将来的には費用に見合った収益を確保するために使用料見直しの検討は避けることはできないものと思われる。②累積欠損金比率令和2年度に比べ20.33ポイント減少した。要因としては、一般会計からの基準外繰入金が増加したことにより純利益が増加したことがあげられる。③流動比率、④企業債残高対事業規模比率流動比率は求められる数値である100%を大きく下回っており、企業債残高対事業規模比率は類似団体平均値と比較して大幅な開きがみられる。現金収入が少ないことも原因だが、合併浄化槽設置工事も排水管整備工事も企業債に大きく依存していることが主な原因であり、初期投資費用である排水管整備が完了する令和8年度頃までは抜本的な改善は難しいと思われる。⑥汚水処理原価年間有収水量が浄化槽整備基数の増加により増えたことで、令和2年度に比べ15.29円減少した。今後も整備基数の増加は見込まれるが、汚水維持管理費等の削減も図り、経営改善を目指す。⑦施設利用率、⑧水洗化率施設利用率は節水意識の向上や人口減少により類似団体平均値を下回ってしまったが、水洗化率は100%となっている。
老朽化の状況について
平成24年度から実施している事業であり、合併処理浄化槽の耐用年数は30年程度、浄化槽排水管の耐用年数は50年程度であることから現時点では対応の必要はない。合併処理浄化槽は令和24年以降に、浄化槽排水管は令和44年以降に対応する必要が生じてくるため、更新を計画的、効率的に実施できるように適切な維持管理を行い状況把握に努める。
全体総括
平成24年度から実施している共用10年目の事業であり、市町村設置型合併処理浄化槽の整備は、河川など公共用水域の水質保全や生活環境の向上を目的としている。事業は合併処理浄化槽を整備するほど一般会計繰入金や企業債に依存しなければならない構造になっており、経営健全化には経費の削減及び使用料収入増が不可欠である。経費の削減対策としてPFI方式の導入が考えられるが、事業を開始してから10年目であり安易に民間に委託する事業方針に変換することはできない。また、経費回収率を上げる方法として使用料の値上げが考えられるが、他市町村の料金体系や下水道使用料との兼ね合いを踏まえると使用料改定は困難な状況である。以上のことより今後については維持管理費用及び整備費用の圧縮などにより経費削減を図りつつ、普及啓発、広報活動を行い浄化槽設置者を増やし使用料収入増に努めるしかないと思われるが、さらなる改善のためにはPFI方式の導入、使用料改定の検討は避けられないものと考える。