経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、職員給与費、受水費、企業債利子償還金の減などにより経常費用が減となったものの、暖冬の影響により給水収益が大幅な減となったことなどにより、前年度に比べ0.62ポイント減少しました。依然として類似団体平均より10ポイント以上低く、営業費用が営業収益を約1億円上回っているなど、他会計補助金や長期前受金戻入などの営業外収益に依存した厳しい経営状況となっています。高料金対策及び統合水道企業債利子償還金に係る一般会計からの繰入金を主とする他会計補助金は今後減少し、給水収益も人口減少により減少傾向であることから、今後は、業務の効率化による経費縮減だけでなく料金改定も含めた経営基盤の強化が必要です。③流動比率については、類似団体平均と同程度の値ですが、現金預金が減少傾向にあるため注視が必要です。④企業債残高対給水収益比率については、近年新たな借り入れを行っていないため年々改善しています。ただし、将来的には、老朽化資産の更新費用が多額となることから、新たな企業債の借入が必要となります。⑤料金回収率、⑥給水原価、⑦施設利用率については、①経常収支比率と同様の理由により、数値が変動しています。⑤料金回収率は100%を下回り、⑥給水原価も類似団体平均より大幅に高い値となっています。水源をほぼ県からの受水としている点や地理的要因など給水原価が高くなる要因はありますが、業務の効率化による経費縮減や施設の統廃合及びダウンサイジングの検討など、給水原価の低減に努めていきます。⑧有収率については、漏水調査等の対策と老朽管更新を計画的に行っていくことで改善を目指します。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は償却資産における減価償却済みの割合を示す比率で、減価償却の進み具合や資産の老朽化の度合いを知ることができます。類似団体と差がなく平均的と言えますが、比率は右肩上がりとなっており老朽化が進んでいます。本市水道事業は昭和31年の給水開始後、平成初期の第2次拡張事業により管路延長が大幅に伸びたこともあり管路経年化率はまだ低い水準と言えます。しかし、今後、第2次拡張事業時に集中的に整備した管路が老朽化した際に、それらを同時期に更新することは経営上困難であり、平準化して更新することが必要となります。これらの比率の推移を注視しながら、将来の管路更新を計画的に行っていきます。
全体総括
本市水道事業は、平成28年度に純損失を計上して以降、経常収支比率はほぼ100%と、収支が均衡した非常に厳しい経営状況となっています。今後も、人口減少に伴い給水収益の減少傾向が続くことから、水道料金の見直しを計画的に行うことを検討するとともに、業務の効率化による経費縮減や料金収納率の向上に努めていきます。また、今後、老朽化する施設等の更新に多額の費用が見込まれますが、令和2年3月に策定したアセットマネジメントでは、建設改良費の縮減のため独自の更新年数の設定や更新時期の平準化を計画しました。全国的に課題となっている水道事業の広域化・広域連携については、近隣町村だけでなく県を含めて調査、研究の取り組みを行っています。将来にわたり安定的な水道事業経営を行っていくために、より一層の経営健全化に努めていきます。