経営の健全性について
①経常収支比率新型コロナウイルス感染拡大の影響により運賃収入が減少したため、令和2年度は数値が悪化したが、ほぼ公営企業平均値と変わらない水準となっている。②営業収支比率年々運賃収入が減少し人件費及び減価償却費が増大しているため、比率は低下傾向にあり、公営企業平均値を下回って推移している。③流動比率いずれの年度も100%を超えており良好な状況であり、公営企業平均値を上回っているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により運賃収入が減少し、平均値との差が縮小した。④累積欠損金比率令和2年度は運賃収入の減少などの要因により赤字額が増えたため、平成27年度決算以来5年ぶりに累積欠損金が発生したが、公営企業平均値を下回った。⑤利用者1回当たり他会計負担額令和2年度は年間輸送人員の大幅な減少などの影響により、数値が増大している。公営企業平均値を大きく上回る数値が続いており、市本体からの補助に依存した状態となっている。⑥利用者1回当たり運行経費上記⑤と同じく、利用者の大幅な減少などの影響により、令和2年度は316.5円となり、公営企業平均値を上回っている。⑦他会計負担比率令和2年度は22.4%であり、公営企業平均値を大きく上回る数値となっている。市本体からの補助に依存した状態が続いている。⑧企業債残高対料金収入比率令和2年度はバス車両更新の財源に企業債を充てたため残高が増加し数値が上昇したが、公営企業平均値とほぼ同様の推移をしている。⑨有形固定資産減価償却率施設等の老朽化が進む一方で、バス車両の更新を随時行っており、数値は横ばいで推移している。ここ数年バス車両の更新を集中して行った結果、公営企業平均値を下回っている。
経営の効率性について
①走行キロ当たりの収入400円程度で推移しており、民間事業者平均値より高い数値となっている。要因として、市本体からの補助が考えられる。②走行キロ当たりの運送原価人件費や減価償却費の増に伴い年々数値が上昇しており、民間事業者平均値より高い数値で推移している。③走行キロ当たりの人件費年々数値が上昇しており、令和2年度は300.98円と民間事業者平均値より高い数値となっている。要因として、令和2年度から始まった会計年度任用職員制度により、パートタイム職員に期末手当を支給したことなどが考えられる。④乗車効率バスの定員に対しどの程度乗車しているかを表している。概ね10%程度で推移しており、公営企業平均値を大幅に下回る数値となっている。バスの運行が効率的でないことが要因だが、公営交通として乗客の利便性確保のために市内全域でバス運行を行っており、路線廃止などは困難であると考えている。
全体総括
市営バスは、昭和7年の創業以来、公共交通としての役割を果たしてきたが、バス利用者及び運賃収入が年々減少している。市から補助金の交付を受けて何とか事業を継続しており、運賃収入のみでは人件費や燃料費などの物件費を賄うことができない状況である。令和2年度の年間輸送人員は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、前年度比で120万人超の大幅な減となったが、令和3年度も輸送人数は回復しておらず、非常に厳しい環境が続いていくと考えられる。今後も令和元年6月に策定した八戸市自動車事業経営戦略に基づき、乗客の皆様が利用しやすいバスダイヤを編成することなどのサービス向上を図ることでバス利用者及び運賃収入の減少傾向に歯止めをかけるとともに、新車ではなく中古バス車両を購入するなど支出の削減にも取り組み、将来にわたって市営バスの運行サービスを安定して提供できるように努めていく。