地域において担っている役割
千歳・恵庭圏域においては、唯一の自治体病院として、診療13科、一般病床190床を要し、地域の急性期医療を担っております。千歳市は新千歳空港を有する交通・産業の重要拠点であり、令和2年の国勢調査では、人口増加数は道内2位(人口増加率は全道35市の中で第1位)、市民の平均年齢は44.28歳であり、伸び行く人口とともに「道内一若いまち」である一方、高齢化(5人に1人が65歳以上)も着実に進んでおり、幅広い人口層等様々なまちの特性を踏まえながら、「地域完結型医療」「救急医療」「高度医療」「小児・周産期医療」「災害医療」「へき地医療」の推進を図り、地域の基幹病院として機能充実、体制の強化等に努めております。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率では、令和3年度は107.8%となり、令和元年度から2年連続の経常赤字としておりましたが、3年ぶりの経常黒字となっております。医業収支比率は90.4%、病床利用率は65.1%、入院患者1人1日当たり収益は66,147円、外来患者1人1日当たり収益についても11,924円と類似団体平均値よりも高くなっております。また、対医業収益比率について、材料費は20.7%となり、類似団体平均値よりも高いものの、職員給与費は59.7%と、類似団体平均値を下回っておりますが、総じて経営の健全性・効率性は保たれております。なお、累積欠損金比率は47.3%と、類似団体平均値121.6%と比べ大きく下回っており、今後も黒字による累積欠損金の圧縮に努めます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率では、令和3年度は59.7%となり、類似団体平均値より若干高いものの、器械備品減価償却率は60.7%と類似団体平均値を下回っております。1床当たりの有形固定資産は66,404,305円となっており、類似団体平均値と比べ高い状況となっておりますが、これは、建物のほか、MRIやCT等高度医療を支える高額な医療機器等を保有していることが要因であり、質の高い医療サービスを提供するうえで重要な投資であり、医療の信頼性や入院外来収益を支えております。当院では施設の大規模改修工事や高度医療機器等の更新を計画的に行っており、コストの縮減・平準化に努めながら、施設の延命化と高水準の医療サービスの提供に努めております。
全体総括
医療を取り巻く環境は依然として厳しい中、公立病院においては、医療の質向上と経営の黒字化の両立が求められております。当院は地域の基幹病院として、国の医療動向や地域の特性等を適切に見極めながら、持続可能な病院経営を目指しており、令和3年度においては3年ぶりの経常黒字となりました。黒字の主な要因としては、新型コロナウイルス感染症の影響は続いているものの、入院・外来ともに患者数は回復傾向にあったことや、継続的に新型コロナウイルス感染症患者等の対応を行ったことで、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金などの補助金収入が増加し、収益を向上することができ、一方費用においては、給与等が増となりましたが、価格交渉力の強化や採用材料の適正化等を図り、徹底したコスト縮減により黒字を達成できたものと分析しております。今後も黒字を継続できるよう健全経営に努めます。