地域において担っている役割
千歳・恵庭圏域においては、唯一の自治体病院として、診療13科、一般病床190床を要し、地域の急性期医療を担っております。千歳市は新千歳空港を有する交通・産業の重要拠点であり、令和2年の国勢調査では、人口増加数は道内2位(人口増加率は全道35市の中で第1位)、市民の平均年齢は44.28歳であり、伸び行く人口とともに「道内一若いまち」である一方、高齢化(5人に1人が65歳以上)も着実に進んでおり、幅広い人口層等様々なまちの特性を踏まえながら、「地域完結型医療」「救急医療」「高度医療」「小児・周産期医療」「災害医療」「へき地医療」の推進を図り、地域の基幹病院として機能充実、体制の強化等に努めております。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率では、令和2年度は97.6%となり、平成30年度は経常黒字となったものの、新型コロナウイルス感染症流行の影響もあり、令和元年度から2年連続の経常赤字となっております。病床利用率は56.7%と類似団体平均値を下回ったものの、医業収支比率は82.4%、入院患者1人1日当たり収益が64,806円となり、類似団体平均値よりも高く、外来患者1人1日当たり収益についても11,574円と類似団体平均値よりも高くなっております。また、対医療収益比率について、職員給与費は68.1%、材料費は21.5%となり、医業収益が大幅に減少したことにより、職員給与費や材料費の比率が高くなっております。なお、累積欠損金比率は、64.6%と類似団体平均値124.2%と比べ、大きく下回っておりますが、累積欠損金の解消に向け、早期黒字化を図る必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率では、令和2年度は63.2%、器械備品減価償却率は74.2%となっており、類似団体平均値より若干高いものの、ほぼ同水準と考えております。1床当たりの有形固定資産は63,783,026円となっており、類似団体平均値と比べ高い状況となっておりますが、これは、建物のほか、MRIやCT等高度医療を支える高額な医療機器等を保有していることが要因であり、質の高い医療サービスを提供するうえで重要な投資であり、医療の信頼性や入院外来収益を支えております。当院では施設の大規模改修工事や高度医療機器等の更新を計画的に行っており、コストの縮減・平準化に努めながら、施設の延命化と高水準の医療サービスの提供に努めております。
全体総括
医療を取り巻く環境は依然として厳しい中、公立病院においては、医療の質向上と経営の黒字化の両立が迫られております。当院は地域の基幹病院として、国の医療動向や地域の特性等を適切に見極めながら、持続可能な病院経営を目指しております。平成30年度は経常黒字となったものの、令和元年度から2年連続の経常赤字となり、黒字化に向けた取組が急務となっております。具体的には、臨床工学技士やリハビリテーション技師等医療従事者の増員等により診療体制の充実、勤務環境の整備に取り組み、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の影響などにより、入院・外来ともに患者数が減少する中、収益の維持に努めました。一方費用においては、給与等が増となりましたが、価格交渉力の強化や採用材料の適正化等を図り、徹底したコスト縮減に引き続き取り組みながら、次年度以降の黒字化を目指します。