地域において担っている役割
市立函館恵山病院は,恵山・戸井・椴法華地域の中核医療機関であり,地域における唯一の病院として,入院医療,救急医療を提供しています。また,人工透析等に代表される慢性期の医療を,特に医療の必要度が高い方を中心に提供しています。なお,旧函館市の地域の患者も多く引き受けているほか,函館市での「在宅医療を行っている医療機関リスト」および「在宅医療を支援している医療機関リスト」に掲載されており,今後も引き続きその役割を果たします。
経営の健全性・効率性について
地域の人口減少に伴う入院・外来患者数の減少等により医業収益が減少していることから,医業収支比率が平均値より低くなっており,病床利用率も低下傾向にあります。令和元年度は透析室の移転拡充を行い病床利用率が微増しました。職員給与費対医業収益比率が平均値より高く,材料費対医業収益比率が逆に平均値より低くなっていますが,療養病床だけを有する病院に多くみられる傾向です。なお,平成29年度,令和元年度,令和2年度,令和3年度の経常収支比率の上昇は,一般会計からの繰入金によるものです。
老朽化の状況について
器械備品減価償却率が年々上昇していますが,これは,施設(建物)の老朽化が進みつつあるなかで,医療機器については一定程度更新投資を行っていることを表しています。当院は平成14年の移転新築から令和3年で19年を経過していることから,施設の老朽化が課題の1つとなっており,設備の計画的な補修,改修が必要となってきています。
全体総括
市立函館恵山病院は,恵山・戸井・椴法華地域におけるプライマリケア(初期医療)および救急医療の提供,ならびに慢性期における入院医療の役割を担っています。地域の人口減少に伴い患者数が減少する一方,救急医療等の病院機能の維持には一定の診療体制が必要であり,収益の増加と費用の縮減に努めるものの,両方で難しい状況にあるため,引き続き一般会計からの一定の支援を受けつつ,地域における唯一の病院として,その役割を果たします。