経営の健全性・効率性について
本町の法的簡易水道事業については,市街地部分以外の郊外部を対象として給水を行っており,上水道の給水区域面積と比較しても約8倍の面積(給水人口密度で約6倍)の広範囲が給水区域となっている。よって,給水人口に対し,多額の建設投資を行い施設を整備しており,給水区域内に水源施設23箇所,浄水施設4箇所,配水施設32箇所,総管路延長約320kmを有している。このような背景から,水道料金の単価が若干高めに設定してある。(1か月当たり一般家庭13mmの場合上水道と600円の差)財政面からみてみると,一般会計からの繰入金を繰入基準にて繰り入れていることに併せ,水道料金収入が毎年約2億円程度確保できており,単年度純利益で黒字を生じている。また過去からの累積欠損金もなく,現在のところ健全な運営を行っている。その背景の一因としては,有収率も類似団体とほぼ同様で高いことや,多額の建設投資で借り入れた企業債のうち高利率の借入分を国の特例措置を受けて平成19年度から順次繰上げ償還したことで後年度負担が軽減できたことなどが大きいと分析している。
老朽化の状況について
簡易水道事業会計では,4つの認可簡易水道事業を有しており,最も古い施設について,昭和30年代に整備された施設も存在する。水道管路については,路線ごとに耐用年数管理はできているが,投資可能な財源に限りがあるため,抜本的な改修ができなく,漏水多発地域など局部的な改修にならざるを得ない現状である。その他区域内に点在する,水源,浄水,配水施設についても,取水ポンプの計画的な更新,ろ過砂の更新などに努めており,古い施設を何とか維持管理して使用している状況である。今後は現在のろ過方式で浄水する施設に代えて,新たな地下水の開発などが望まれる。
全体総括
簡易水道事業区域においても,上水道同様に給水人口が急激に減少しており,平成21年度から平成26年度までの5年間で965人減少し,併せて料金収入も約13,000千円減少している。今後一部の地区に中央監視システムの整備を行うほか老朽施設の更新,施設の耐震化などの投資的経費増大が懸念される。一方,上水道事業との統合も予定しており,今後は町内一上水道にまとめたうえで,施設運営の合理化,簡素化に努めていく必要がある。