経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は,下水道処理施設の維持管理業務の効率化とコスト削減を図ることを目的に平成24年度より包括的民間委託を導入するとともに,平成25年7月に下水道使用料を改定するなど経営の健全化に努めてきたことなどから改善しつつあるが,地方債元金償還を一般会計からの繰入金で賄っており,今後も引き続き経営健全化に努める必要がある。④企業債残高対事業規模比率は,下水道使用料の改定などにより改善傾向にあるが,企業債残高については,長寿命化計画に基づく下水道施設の再構築工事の実施などにより増加傾向にあり,今後も計画的に投資を行っていく必要がある。⑤経費回収率は,類似団体と比較しても高い状況であるが,資本費について料金収入で賄えておらず一般会計からの繰入金を充てている状況であり,今後も料金改定など経営健全化に努める必要がある。⑦施設利用率は,処理区域内人口が減少傾向にあることなどから類似団体と比較しても低い状況であるが,旅館・ホテルからの汚水量が一定の割合を占めるため観光シーズンなどは6割前後の施設利用率となることもある。⑧水洗化率は,類似団体と比較して高い状況である。
老朽化の状況について
③管渠改善率は,類似団体と比較して高い状況であるが,昭和61年3月の供用開始から30年が経過し,下水道施設の老朽化が進んでいる状況である。下水管渠の更生工事は以前から取り組んできており,平成24年度からは長寿命化計画に基づく下水道施設の再構築工事を実施している。老朽化や施設の重要性などを考慮し,現在,主に終末処理場及び汚水中継ポンプ場に係る再構築工事を実施しているが,下水管渠についても優先度が高い箇所について再構築工事を実施している。今後も計画的に下水道施設の維持補修及び再構築工事を実施する必要がある。
全体総括
下水道処理施設の維持管理業務の包括的民間委託や下水道使用料の改定など経営の健全化に努めてきたことから,収益的収支比率と経費回収率は改善傾向にあるが,料金収入で汚水処理経費が賄えておらず一般会計からの繰入金を充てている状況である。また,供用開始から30年が経過し下水道施設の老朽化が進んでおり,長寿命化計画に基づく再構築工事を実施している状況であり,今後,下水道施設の維持補修及び再構築工事に係る費用の増加が見込まれる。以上のことから今後も計画的で適切な投資による事業実施など歳出を見直すとともに,下水道使用料の改定などより一層の経営健全化に努める必要がある。