地域において担っている役割
一次救急医療施設二次救急医療施設共同利用型開放病院西都児湯地域の地域災害拠点病院
経営の健全性・効率性について
・令和元年度までは、経常収支比率及び医業収支比率は100%を上回ってきたが、令和2年度に複数の医師が退職し、新型コロナの影響もあり医業収益が減少し経営が悪化した。令和3年度に2名の常勤医を獲得し経営は改善傾向にある。また、夜間急病センター経営の健全性を維持するためには運営費負担金が不可欠である。・病床利用率が類似病院平均値より低いのは、許可病床数(91床)に対し、稼働病床数は69床であることに加え、新型コロナ陽性患者受入に伴い、休止病床が増加したためである。現在は3階病棟で新型コロナ陽性患者受入対応として、2重の簡易扉の設置等の対策により、コロナ確保病床を2床から6床に増床し、休止病床を減少させ、稼働病床数を51床から59床とすることにより一般患者の受入れを可能とした。・1人1日当たり収益においては、入院、外来共に類似病院平均値を大きく上回っている。人件費については令和2年度以降に常勤医師の退職等に伴い医業収益が悪化し、職員給与費が占める割合が高くなっている。材料費については、ジェネリック医薬品の割合を高めるなど材料費の削減に引き続き努めていく。
老朽化の状況について
昭和55年に病院が建設されており、建設後40数年が経過している。施設の所々に老朽化の影響が出てきており、空調機器や電気系統の故障などの発生頻度も増加し、それに伴う修繕等が増加傾向にある。入院病室は、患者1人あたりの必要面積の制限により6人部屋を4人部屋として使用していること、また新型コロナ患者受入れによる休止病床の増加により許可病床91床に対し、最大使用病床51床で運用している。有形固定資産減価償却率は、平均を超え老朽化が進んでいるが、土地及び建物は西都市所有であり、指標に基づく分析は出来ない。新病院については、市長交代で建設予定地が白紙となり、現病院維持のため必要となった消防法施行令に基づく消火設備設置工事を令和5年10月着工予定で計画している。災害拠点病院としての要件を満たすため、臨時病床・診療・備蓄等のスペースを確保することが早急に求められる。
全体総括
平成28年4月に地方独立行政法人となり、西都市の作成した中期目標に沿った中期計画を策定し、目標達成に向け職員一丸となって運営に取り組んでいる。急性期一般入院料1を堅持し、高齢化が進む地域住民の急性期医療のニーズに対応した医療の提供を行いつつ、医療機能・患者サービス向上、経営安定のため必要な医療従事者を確保していく。夜間急病センターは、常勤医師を中心に宮崎大学医学部・県立宮崎病院や周辺医師会などからの協力により、内科・外科を毎日診療できる体制構築に努めている。今後の課題として、医療圏域内で2院しかない新型コロナウイルス感染症患者の受入施設として、地域の拠点病院として役割を担うため、不足する診療科の常勤医師の確保を喫緊の課題とし、運営改善に向けた医業収益を確保していくとともに、病院施設及び器械備品の老朽化している中、新病院建設に向けた検討を早期に再開する必要がある。現在、西都市と医療センター間で訴訟中であるが、地域の方々の為にも早期に解決し、良好な関係構築が求められる。