経営の健全性・効率性について
①・・・経常費用が経常収益でどの程度賄われているかを示す指標。類似団体の平均値を下回っており、厳しい経営状況と言えます。平成25年度に10ポイント低下していますが、これは営業外収益の減少によるものです。平成26年度以降については、平成25年10月から10年間の経過措置期間を設けて、上水道と料金を統一しましたので、徐々に収益が増大し、徐々に効果が現れてくる見込みです。④・・・給水収益に対する企業債残高の割合であり、企業債残高の規模を表す指標。その割合は平成25年度をピークに減少傾向にありますが、市内周辺部に44施設が点在しており、今後も施設の統合や老朽化に伴う整備事業等により、増加傾向になることが見込まれますので、ダウンサイジング等による建設コストの削減が必要となります。⑤・・・給水に係る費用が、どの程度給水収益で賄えているかを表した指標。料金回収率が悪化の一途を辿っていますが、これは市内中心部から比較的近く、収益性の高い地区の簡易水道を順次、上水道に統合したことに伴うものです。また、類似団体の平均値を大きく下回っており、さらなる給水人口の減少等により過大となる施設が増えることが想定されるため、料金統一に伴う収益増を見込んでも類似団体の平均値までの改善は見込めない状況と言えます。⑥・・・有収水量1㎥あたりについてどれだけの費用がかかっているかを表す指標。給水原価の上昇についても、一部の簡易水道を順次、上水道に統合した影響によるものです。また、一部の浄水処理コストが高い地域への給水のための一定の費用負担や一定の建設投資が必要であるため、下げることは難しい状況です。⑦・・・配水能力に対する配水量の割合で、施設の利用状況を判断する指標。給水人口の減少伴い、施設規模が過大となり、利用効率が下がっています。平成23年度から低下していますが、一部の簡易水道を順次、上水道に統合した影響によるものです。⑧・・・施設の稼働が収益につながっているかを判断する指標。定期的な施設の点検や漏水調査、修繕等により、類似団体の平均値を上回っています。
老朽化の状況について
③・・・当該年度に更新した管路延長の割合を表す指標。計画的に老朽管更新事業や道路改良に伴う配水管移設事業を実施しているところですが、平成24年度は2地区の簡易水道を上水道に統合するために管路の更新事業を実施したため、更新率が高くなっています。平成28年度からは全施設の資産調査を実施しており、更新の必要性の高い管路については経営に与える影響を踏まえ、更新計画を見直す予定です。
全体総括
有収率を除くすべての項目について類似団体平均値を下回っており、非常に厳しい経営状況であると言えます。この原因は市内周辺部に点在しているため、管路延長が長いこと、起伏に富んだ地形であるため、多数のポンプ施設が必要になること、施設数が多いこと等が挙げられます。今後は料金水準の改善が見込めるものの、それだけでは十分と言える状況ではないため、施設・設備の更新においては、人口減少や給水需要の減少を踏まえ、ダウンサイジングやスペックダウン、また施設の長寿命化を図りながら効率的な投資を行うとともに、民間委託等による業務の効率化を図る必要があります。ただし、給水人口の減少や起債残高の状況から、簡易水道事業単独で経営健全化を図ることは困難な状況であり、継続した一般財源の投入が必要となります。