地域において担っている役割
対馬医療圏の中核病院として救急・小児・周産期・災害・精神医療を提供するほか、24時間体制の島民医療の確保、心臓カテーテル療法や脳梗塞血栓溶解療法、がん医療の向上、外科・整形外科手術の向上など、地域完結型の医療の提供に努めている。
経営の健全性・効率性について
本年は、入院・外来収益ともに開院以来の高収益ではあったが①経常収支比率、②医業収支比率ともに平均値を下回る状況であった。④病床利用率は平成30年度から取り組んできた病棟再編の効果が如実に表れた結果となり高水準で推移している。⑤入院患者⑥外来患者1人1日当たり収益については、依然平均を下回る状況にあり更なる増収対策が必要である。⑦職員給与費は、依然として高い水準にあり適正な人員配置が必要である。⑧材料費対医業収益比率は、削減効果が表れ平均値を下回る結果となった。
老朽化の状況について
①有形固定資産②器械備品減価償却率は新築から5年目ということもあり平均を下回っているが器械備品については更新の検討が必要な時期が迫っている。しかし③1床当たり有形固定資産の割合が依然高い状況にあり、更新に当たっては過度な投資を避け適正な器機の整備、施設の改修を行いたい。
全体総括
対馬市の人口は、3万人を下回り、開院した平成27年末から約3千人減少しており、今後も外来・入院患者の過度な増加は見込めないものと思われる。一方で令和元年度の国保動向調査における患者の島外流出は、コロナ禍においてやや減少傾向にあったものの依然高い傾向にあり、流出の抑制による増収効果は高い。今後は更なる医療体制の充実による地域完結型の医療の提供と併せて、中核病院として医療と介護・福祉の連携強化、地域包括ケアシステム充実のために地域に根差した病院づくりを目指す。