地域において担っている役割
当院は長崎県県南医療圏の急性期医療を担う地域の中核病院として急性期全般の高度専門的な医療を提供するほか、地域医療支援病院をはじめ地域がん診療連携拠点病院、高次脳卒中センター、災害医療等の機能を担っている。また、地域の医療福祉機関との症例検討会や公開セミナーの開催等による情報発信に取り組み、地域の健康増進に貢献している。
経営の健全性・効率性について
令和元年度は入院単価は減少したものの、入院患者数の大幅な増加により経常収支比率100%超を達成した。収益増の要因としては血液内科の常勤医の配置や脳神経外科の1名増の要因が大きいが、病院職員が一丸となって収支改善に向けて取り組んだ結果だと思料する。職員給与費対医業収支比率は収益改善により前年度下回っており、類似病院との比較でも適正な人員配置ができていると判断できるが、材料費対医業収支比率は類似病院の平均値を上回っており、さらなる経費節減対策が必要である。
老朽化の状況について
当院は平成13年度に建築されており、令和元年度で17年が経過している。有形固定資産減価償却率は経年増加傾向にあり、類似病院平均値及び全国平均を大きく上回っていることから設備の老朽化が進んでいるものと判断できる。器械備品減価償却率は微減となっているが、類似病院平均値を上回っている。今後、設備については、安全面等の観点からも緊急性の高いものから随時更新を検討していかなければならないが、減価償却等の増加にも繋がるため、経営状況を勘案し対応する必要がある。
全体総括
令和元年度は特に入院患者数の伸びが大きく収益改善につながったが、今後、施設や設備の改築・更新にかかる費用の増加が見込まれるため、より一層の経営改善に取り組む必要性がある。引き続き、医師の確保対策を図るとともに、地域医療連携による紹介患者の確保、救急隊との連携強化及び各病棟の柔軟な受け入れによる救急患者の確保など収益の確保を図ると同時に、経費削減を図りながら、積極的に経営改善に取り組んでいく。