経営の健全性・効率性について
平成26年度の地方公営企業法適用後は,減価償却費の計上等から純損失が継続する厳しい経営状況が続いていたが,平成30年4月に使用料改定(平均改定率16.0%)を行ったことにより,経費回収率は改善され,単年度収支の黒字化が図られた。経常収支比率,流動比率,水洗化率が類似団体の平均と比べて低く,累積欠損金比率,汚水処理原価が高いことから,積極的な水洗化の促進により下水道使用料の増加を図るほか,経費削減等による経営の効率化が必要となっている。また,企業債残高対事業規模比率が類似団体と比較して高いことから,合理化を前提とした投資計画のもと,企業債残高の抑制,特に水洗化人口一人当たりの企業債残高の抑制が必要となっている。なお,汚水処理原価については,本市の決算状況等について総務省とも協議し,平成28年度決算から,汚水処理費の算定において,これまで控除してきた臨時財政特例債等に見合う減価償却費相当額の控除を取り止めたことから,類似団体よりも高くなっている。
老朽化の状況について
類似団体との比較では,管渠老朽化率は高く,管渠改善率は低くなっている。現在は,平成30年4月に策定したストックマネジメント計画に基づき,計画的かつ効果的に老朽管の更新を進めており,調査を実施しつつ,緊急度の高いものから,順次改築又は修繕を行っている。
全体総括
下水道経営においては,脆弱な財政基盤の強化が喫緊の課題であり,投資や経営の合理化はもとより,普及率や水洗化率の向上とともに,使用料の適正化等による収益の確保が必要となっていたことから,平成29年度に経営戦略を策定した後,平成30年4月に使用料改定(平均改定率16.0%)を行い,単年度収支の黒字化が図られた。長期的に安定したサービスの提供に向け,令和2年度からの2か年で,経営戦略の中間検証を行いながら,経営戦略の見直しを行っており,令和3年度末に経営戦略の改定を予定している。今後においては更なる経営基盤の強化とともに財政マネジメントの向上に取り組んでいく。