経営の健全性・効率性について
経常収支比率,流動比率,料金回収率は類似団体平均よりも高く,給水原価は類似団体平均よりも低くなっている。累積欠損金比率は0%で推移しており,これまでの経費の削減効果等によって,効率的で健全な経営が保たれている状況と考えられる。ただし,企業債残高対給水収益比率は類似団体平均よりも高くなっている。これは本市においては,令和4年(2022年)までを南海トラフ地震対策集中投資期間として投資事業を行ってきていることもあり,類似団体と比べると高い水準にある。今後においては,企業債償還額が企業債発行額を上回り,企業債残高が漸減する見込みとなっているが,引き続き投資の平準化等を図っていく必要があると考える。また,有収率は類似団体平均よりも高く,効率的に収益の確保ができているものの,施設利用率は類似団体平均を下回っており,今後の施設更新時には,ダウンサイジングを実施していく予定である。
老朽化の状況について
将来的な施設更新の必要性を表す有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っているが,管路の老朽化度合を表す管路経年化率については類似団体平均を上回っている。当該年度に更新した管路延長の割合を表す管路更新率が令和2年度は類似団体平均を下回っているものの,基幹管路の耐震適合率(43.5%)は直近の指標値で全国平均(40.9%)を2.6ポイント上回っている。今後も安定したサービスを提供し続けるため,計画的な管路の布設替に取り組んでいく。
全体総括
人口減少や節水意識の定着等による有収水量の減少に伴う給水収益の減少が見込まれる中,老朽化施設の更新や管路の耐震化が急務となっている。平成29年度に,投資の合理化や経営の効率化を前提とした,今後10年間の経営の基本計画となる経営戦略の策定を行っており,将来の水需要を踏まえた,適切な施設や管路のダウンサイジングやスペックダウンを進めることとしている。長期的に安定したサービスの提供に向け,令和2年度からの2か年で,経営戦略の中間検証を行いながら,経営戦略の見直しを行っており,令和3年度末に経営戦略の改定を予定している。今後においては更なる経営基盤の強化とともに財政マネジメントの向上に取り組んでいく。