経営の状況について
経常収支比率、営業収支比率は、ともに100%を超えています。また、流動比率も、変動はあるものの100%を大幅に超えています。H28年度及びH29年度に流動比率が全国平均を下回っているのは、ともに水車発電機オーバーホールなどにかかる未払金の増によるものです。供給原価は全国平均を下回っていますが、機器の長寿命化等による設備投資の効率化や経費削減等の経営効率化の取組を行っていることによるものです。EBITDAについて、H26年度の値が他年度と比べて低くなっているのは、新会計制度の適用に伴い義務化された退職給付引当金等の繰入れによる総費用の増加額が、引当要件を満たさなくなった修繕準備引当金等の取崩しによる総収益の増加額を上回ったことにより純損益の黒字が減少したことが原因です。また、H28年度及びH29年度と続けて減となっているのは、水車発電機オーバーホールや風力発電所撤去など規模の大きな工事により費用が増加したためです。
経営のリスクについて
[水力発電]設備利用率は、施設がダム式及びダム水路式発電所であるため、全国平均より高い数値となっています。なお、H30年度が低下しているのは、発電設備の被災により長期の発電停止期間が発生し、計画の9割程度の供給電力量となったことなどが大きな要因であり、今後は豪雨等による災害への備えとして、施設の強靭化と管理体制の強化が重要となっています。修繕費比率は、H27年度から全国平均値と比べ増加傾向となっています。H28年度及びH29年度は水車発電機オーバーホールを実施したほか、杉田ダム洪水吐ゲートの不具合復旧工事等を行ったことなどから、H30年度は豪雨により被災した発電設備及び護岸の修繕工事が発生したことから、修繕費比率が増加しています。企業債残高対料金収入比率は、計画どおりの企業債償還により低下傾向にあります。有形固定資産減価償却率は、全国平均よりも高い割合となっており施設の老朽化が進んでいる状況と言えます。なお、水車発電機の修繕・改良は定期的に実施しており、施設の適切な管理に努めています。FIT収入割合については、該当施設がありません。[風力発電]設備利用率は、自然災害等による故障停止と故障停止期間の長期化により低下傾向にありましたが、H28年9月に小規模な風力発電所(250kW)を廃止したことなどから、H29年度は微増となっています。なお、H30年度は、長期間の発電停止がなかったことに加え、良好な風況により前年度比で約3割の増加となっています。修繕費比率は、自然災害や経年劣化による故障に伴い大規模修繕等を実施したH26年度、H27年度及びH29年度は高い割合となっています。企業債残高対料金収入比率については、該当ありません。有形固定資産減価償却率については、国内での風車導入の初期に建設されたことから減価償却が進んでおり、全国平均よりも高い割合となっています。FIT収入割合について、運転開始後20年が経過した1風力発電所(250kW)について、FIT適用終了後も一定期間運転を継続していたことから、H28年度は100%を下回っています。(H28年9月に廃止)なお、R元年8月にFIT適用が終了する1風力発電所については、収入が大幅に減少することなどから廃止し、撤去工事を実施しています。
全体総括
電気事業の経営状況については、安定的な売電料金収入の確保と、経費削減や業務の効率化などに努めており、全体的には健全な経営が行えています。また、廃止した風力発電所の適切な撤去等を進めるとともに、残る1風力発電所については、安定した電力供給の確保に向け、施設の適切な維持管理を行うとともに、故障の際には停止期間の短縮を図ります。なお、FIT適用終了(R6)後の事業継続については、H29年度に実施した試算では厳しい結果となっていますが、FIT適用終了時期までに改めて検討します。今後も、経営の効率化と施設の適切な維持管理に努め、有利な条件の下での水力発電の売電料金の確保に取り組むなど、営業利益の安定確保を目指すとともに、H30年度に策定した経営戦略に基づく取組の推進により、引き続き健全な経営が行えるよう取り組んでまいりたいと考えています。