経営の状況について
経常収支比率、営業収支比率は、ともに100%を超えています。また、流動比率は、変動はあるもののH25年度から全国平均を大幅に上まわっています。供給原価は全国平均を下まわっていますが、機器の長寿命化等による設備投資の効率化や経費削減等の経営効率化の取組を行っていることによるものです。EBITDAについて、微増傾向にあったものの、H26年度に減となっています。これは、新会計制度の適用に伴い義務化された退職給付引当金等の繰入れによる総費用の増加額が、引当要件を満たさなくなった修繕準備引当金等の取崩しによる総収益の増加額を上回ったことにより純損益の黒字が減少したことが原因です。
経営のリスクについて
[水力発電]設備利用率は、施設がダム式及びダム水路式発電所であるため、全国平均より高い数値となっています。なお、H25年度に低下しているのは、年間降水量が少なかったことから計画の9割程度の供給電力量となったことなどが原因です。修繕費比率は、全国平均より低い10~20%で推移していますが、H23年度は、水車発電機オーバーホールなどの大規模修繕により高い比率となっています。企業債残高対料金収入比率は、計画どおりの企業債償還により低下傾向にあります。有形固定資産減価償却率は、全国平均よりも高い割合となっており施設の老朽化が進んでいる状況と言えます。なお、水車発電機の修繕・改良は定期的に実施しており、施設の適切な管理に努めています。FIT収入割合については、該当施設がありません。[風力発電]設備利用率は、低下傾向にありますが、これは自然災害等による故障停止と故障停止期間の長期化が主な要因であり、故障停止等からの早期復旧による停止期間の短縮に向けた取り組みの強化が重要となっています。修繕費比率は、H26年度とH27年度にて落雷等故障に伴う大規模修繕を実施した影響から高い割合となっています。企業債残高帯料金収入比率については、該当ありません。有形固定資産減価償却率は、H26年度から増となっています。これは新会計制度の適用に伴い、みなし償却制度が廃止され、補助金で取得した固定資産の減価償却見合いを償却累計額に含めたことが原因です。FIT収入割合については、H24年12月より3風力発電所すべてがFIT単価に移行したことにより上昇しています。なお、FIT適用期間終了(H31及びH36)後は、収入が大きく変動するリスクを抱えています。
全体総括
電気事業の経営状況については、安定的な売電料金収入の確保と、経費削減や業務の効率化などに努めており、全体的には健全な経営が行えています。また、風力発電事業については、安定した電力供給の確保に向け、施設の適切な維持管理を行うとともに、故障の際には停止期間の短縮を図ります。なお、風力発電のFIT適用終了(H31及びH36)後の事業のあり方については、H29年度に実施するリプレース可能性調査の結果を踏まえ検討することとしています。今後も、経営の効率化と施設の適切な維持管理に努め、有利な条件の下での水力発電の売電料金の確保に取り組むなど、営業利益の安定確保を目指すとともに、H30年度を目処に策定を予定している経営戦略のなかでも、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。