経営の健全性・効率性について
本事業は平成22年度より開始した県下初のPFI方式による町営浄化槽整備推進事業であり、平成22年度から令和元年度までの事業期間終了後、令和2年度からは、令和11年度までの第2期事業を行っている。【収益的収支比率】収益的支出比率は、年々減少傾向にあり、令和2年度においても前年度比で2.09ポイント低下している。これは地方債償還金の増加によるものであり、今後も令和4年度頃までの低下が見込まれ、その後は少しずつ改善していくものと考えられる。【企業債残高対事業規模比率】企業債償還については、類似団体と比較すると高い水準で推移しており、使用料の見直し等、経営改善を図っていく必要がある。しかしながら、近年は新規整備基数が伸び悩んでいるため起債の新規借入は減少傾向にあり、今後少しづつ改善していくものと考えられる。【経費回収率】令和2年度においては、2.91ポイント低下したものの、近年は、類似団体と比較すると高い数値を維持している。人槽ごとの汚水処理に係る費用と使用料は一定であるため、今後も横ばい状態が続くと考えられる。【汚水処理原価】令和2年度は、前年度に続き類似団体の平均値をやや下回ったが、今後も有収水量により上下することが想定され、概ね横ばいの状態になると考えられる。【施設利用率】近年は、類似団体平均値と同様の推移をしていたが、令和2年度は前年度に続き、有収水量の増加から従前並の施設利用率となった。【水洗化率】今後も、将来の少子高齢化による人口減少を見据えながら現在の状況を維持していく。
老朽化の状況について
令和2年度は本事業開始から11年目となっており、年々ブロワ及び本体の部品等の軽微な修繕が増加傾向にある。この修繕は、今後も増加すると見込まれ、浄化槽の躯体についても故障等による更新が発生することが予想されるため、将来を見据えた施設の長寿命化やライフサイクルコストの縮減を図る計画的な維持管理、単年度の費用負担の増加を防ぐための施設更新の平準化等の実施を検討する必要がある(浄化槽の耐用年数については、平成26年1月国土交通省・農林省・水産省・環境省が策定している「持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル」通称3省マニュアル本編、資料編に浄化槽の躯体は30年~50年、機械7年~15年と明記されている。)。
全体総括
【経営の健全化・効率性について】本事業において、特に改善が必要と考えられるのは、収益的収支比率及び経費回収率である。この結果には、本事業に係る費用が使用料収入以外に賄われていることが顕著に表れている。下水道事業については、住民の生活環境の向上及び公共水域の水質保全に資することを目的としており生活に必要不可欠な事業であることから、水洗化の普及促進や今後の状況に見合った使用料への見直しについても検討をしていく必要がある。【老朽化の状況】近年は、修繕件数が増加傾向にあり、耐用年数の近づく今後はさらに収益を圧迫することが予想されることから、施設更新の計画的実施(平準化)や民間業者のノウハウや経験を活かし、定期的な維持管理を行い、経営改善に努める。