経営の健全性・効率性について
本事業は平成22年度より開始した県下初のPFI方式による町営浄化槽整備推進事業である。【収益的収支比率】平成26年度に100%を割り込んで以降、年々減少傾向にあり、平成30年度においても前年度比で2.72P低下している。これは、浄化槽の維持管理費の増加によるものであり、今後も維持管理基数の増加に伴い、収益的収支比率の低下が見込まれるため、使用料の見直しや維持管理費の削減等の対策が必要と考えられる。【企業債残高対事業規模比率】企業債償還については、類似団体と比較すると高い水準で推移しており、使用料の見直し等、経営改善を図っていく必要がある。しかしながら、近年は新規整備基数が伸び悩んでいるため起債の新規借入は減少傾向にあり、今後少しづつ改善していくものと考えられる。【経費回収率】近年は、類似団体と比較すると高い数値を維持しており、平成30年度においては、1.69P上昇している。しかし、依然として汚水処理に係る費用が使用料以外の収入に依存しており、今後は地方債償還金の増加も見込まれることから経営効率の低下が懸念される。【汚水処理原価】近年は、ほぼ横ばい状態で類似団体に近い数値で推移していおり、平成30年度においては、前年度比で3円程度減少している。【施設利用率】平成30年度において、前年度比で0.72P増加しており、類似団体平均値とほぼ同じとなった。しかしながら、平成28年度と比べると8.36P減少しており、原因としては近年の災害や渇水による節約志向による有収水量の低下が考えられる。【水洗化率】今後も、将来の少子高齢化による人口減少を見据えながら現在の状況を維持していく。
老朽化の状況について
事業開始から9年目に突入し、年々ブロワ及び本体の部品等の軽微な修繕が増加傾向にある。この修繕は、今後も増加すると見込まれ、浄化槽の躯体についても故障等による更新が発生することが予想されるため、将来を見据えた施設の長寿命化やライフサイクルコストの縮減を図る計画的な維持管理、単年度の費用負担の増加を防ぐための施設更新の平準化等の実施を検討する必要がある(浄化槽の耐用年数については、平成26年1月国土交通省・農林省・水産省・環境省が策定している「持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル」通称3省マニュアル本編、資料編に浄化槽の躯体は30年~50年、機械7年~15年と明記されている。)。
全体総括
【経営の健全化・効率性について】本事業において、特に改善が必要と考えられるのは、収益的収支比率及び経費回収率である。この結果には、本事業に係る費用が使用料収入以外に賄われていることが顕著に表れている。今後は、地方債償還金の増加が見込まれることから、これらの数値のさらなる低下が懸念される。下水道事業については、住民の生活環境の向上及び公共水域の水質保全に資することを目的としており生活に必要不可欠な事業であることから、水洗化の普及促進や今後の状況に見合った使用料への見直しについても検討をしていく必要がある。また、将来にわたって安定的に事業を継続していくための基本計画である「経営戦略」を令和2年度に策定する予定としている。【老朽化の状況】近年は、修繕件数が増加傾向にあり、耐用年数の近づく今後はさらに収益を圧迫することが予想されることから、施設更新の計画的実施(平準化)や民間業者のノウハウや経験を活かし、定期的な維持管理を行い、経営改善に努める。