経営の健全性・効率性について
本市の水道は、令和元年度末の給水人口が32,504人の水道施設を管理運営している。昭和42年以降、整備されてきた本市の水道は、老朽化対策や安定的な財政基盤の構築、安全性の向上に根ざした膜ろ過設備の導入や耐震性の向上等を目的として、平成11年度から平成29年度の19年間に統合簡易水道事業を190億円の集中投資により実施した。所期の目的を達成した反面、多額の集中投資により令和元年度決算の企業債未償還残高は約93億円で、収益的収支は毎年赤字となっている。その結果は、経営の健全性を示す➀~➅の指標に表れており、➀経常収支比率や➄料金回収率、➅給水原価は類似団体と比べ健全性を欠いた値となっており、令和元年度に約5%の料金改定を実施したものの、現時点で顕著な改善傾向は見られていない。効率性を示す➆施設利用率は類似団体に比べ低いものの、⑧有収率については施設の健全性から良好な値となっている。③流動比率は類似団体に比べ上回っており支払能力は保たれている。④企業債残高対給水収益比率が類似団体に比べて大幅に高くなっている要因は、平成11年度から平成29年度に集中投資したためである。
老朽化の状況について
平成11年度から平成29年度の集中投資により、比較的新しい施設が多く存在しており、このことは、➀有形固定資産減価償却率や、➁管路経年化率の動向に表れており、類似団体と比べても新しい施設を保有していることが分かる。➂管路更新率は、令和元年度に策定したアセットマネジメントに基づき計画的に更新を行っていく。
全体総括
平成21年度に策定した東温市水道ビジョンに沿って実施した統合簡易水道事業の成果として、より安全で安定的な供給を実現しているが、減価償却費や企業債償還金等により、短期的な経営改善は困難と言える。そのため、令和2年度に経営戦略を策定するとともに、水道料金の適正化の検討を通じて健全経営を行う必要があり、令和元年度に約5%の料金改定を実施した。今後も引き続き4年ごとに見直す予定である。また、老朽化が懸念される施設の改築更新については、平成30年度から令和元年度に策定した耐震化計画及びアセットマネジメントに基づいた東温市水道事業ビジョンを令和2年度に策定し、施設の適正管理に努め長寿命化を図り計画的な整備に取り組む。